年収600万円世帯の「純貯蓄額」はどのくらい?

さきほどの「平均貯蓄額」から「負債額」を差し引いた「純貯蓄額」をみていきましょう。

年収600万~650万円世帯の純貯蓄額

1,072万円-1,039万円=33万円

年収650万~700万円世帯の純貯蓄額

1,246万円-827万円=419万円

上記2つの層を比べると、「年収600万~650万円世帯」の場合、貯蓄額から負債額を差し引くと33万円。ほとんど残らない、という結果になります。ほぼ、「貯蓄額=負債額」といってよいでしょう。

貯めるだけでなく運用することも視野に

老後の生活に向けて少しでも貯蓄額を増やしていきたいところですよね。しかしながら、今の時代ただ普通預金として銀行に預けておくだけではお金は増えていきません。ただ貯めるだけではなく、少しずつ「運用」にも目を向け、お金を増やすことを考えるということも大切です。

とはいいつつも、「運用って一体何をすれば良いのかわからない」「お金が減ってしまうのが怖い」などなかなか手が出せない人も多いのではないでしょうか。そのような方はまず、節税をしながら資産運用ができる、iDeCoやNISAから始めるとよいかもしれません。通常、投資などによって得られる運用益には約20%の所得税がかかってくるのですが、iDeCoやNISAは非課税なのが特徴です。

さらに、iDeCoは所得控除の対象となっており、投資した金額に応じて所得税等が軽減されるため、仕事をしていて所得税がかかっている人にとってはそれだけでもやる価値が大きいといえます。またiDeCoでは定期預金・保険などのように元本確保型の商品を選ぶこともできるので、「運用には興味がないけれど、所得税控除のために、iDeCoをしてみたい」という方はまずそのような元本が保証されている商品から始めてみるとよさそうです。

しかしながらせっかくの運用ですので、元本確保型だけではなく、元本変動型の運用商品に目を向けてみてもよいかもしれません。リスクとリターンのバランスの取れた運用商品から、ハイリスクハイリターンの運用商品まで、選ぶ金融機関によってさまざまな商品が用意されているので一度調べてみてはいかがでしょうか。

【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

【参照】
国税庁「民間給与実態統計調査の調査概要
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」8-2年間収入階級別

中川 雅美