定年退職後に肝心なのは「資産取り崩し」に失敗しないこと

筆者が提唱する資産形成方法は、「若い頃からコツコツつみたてて、60歳くらいには2,000万円から3,000万円程度蓄財できているようにしましょう」というものです。2,000万円というとある程度まとまった資産ですが、たとえばこれを30歳から30年間で貯めるとすれば、金利を考慮しない場合、毎月5.5万円ほどをつみたてていけばいいことになります。

時間をかけて貯めた資産も、いずれ使わざるをえなくなる

もちろん、若いときは給料が低いのでそんなに多額の貯蓄をするのは難しいですが、可処分所得の割合が高いうちにある程度始めておかないと、まず資産形成の習慣は身に着きません。つまり、インベストメント(投資)を始める時期として重要なタイミングなのです。

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30年間という時間軸の中で徐々に所得が増えていく可能性や、株価の上昇等が期待できるわけですから、この時期に少額からつみたて投資を始めずしていつ行うのか、と指摘したいくらいです。

ところが皮肉なことに、若年層はまとまった資金は持っていません。持っていないので、金融機関のターゲット顧客は資産を保有している中高年層になってしまいます。実はここにパラドックスがあります。

現在の中高年層は昔の若年層であり、当時まとまった資産を持っていなかった方々です。その“昔の若年層”が時間をかけて資産を形成してきたからこそ、今、資産保有層となっているわけです。その中高年層はいずれ引退を迎えますから、これから資産を増やすというよりは、どのように使っていくか(使わざるをえないか)という状況になってきます。

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執筆者
太田 創
  • 太田 創
  • 一般社団法人日本つみたて投資協会
  • 代表理事

関西学院大学卒。1985年、三菱銀行入行。1988年より約10年間、ロンドンおよびサンパウロで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。
その後、2000年からシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)、GCIにおいて投資信託のマーケティング・商品企画を統括。現在は一般社団法人日本つみたて投資協会・代表理事。
主要な著書には、『ETF投資入門 』(日経BP 2008年)、『お金持ち入門』(実業之日本社 2015年 共著)、『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版 2019年)などがある。