インベストメント(投資)からディベストメント(取り崩し)にシフト

年金収入等が潤沢にあればいいですが、貯蓄した資産は年金の不足分を補うもの、あるいは将来養護施設に入所するための資金かもしれません。とにかく、増やすというよりは使うという方向にシフトチェンジしていかないといけないのです。

すなわち退職後はインベストメント(investment)ではなくディベストメント(divestment)、つまり資産を取り崩していく時期ですから、本来保有資産を増やしていける時期ではありませんし、時間も限定されています。

退職後、通常は住宅ローンなどの住居費や教育費の負担が大きく減り、日常生活のコストも減少していきます。一見余裕があるように見えますが、一方で定期収入源は限られてきます。こうした状況で、それまである程度の資産形成ができているのであれば、将来に備えつつうまく取り崩していくことが肝要です。

また、多額の退職金を得た方々が、それをどうにか増やそうと努力されるのはいいのですが、資産運用には広汎な知識や経験が必要なことを考えれば、無理して投資する必要はないと思います。生半可な知識で投資に手を出すと、火傷するのは自明です。

図表1は引退後に3000万円の現金(純資産)があったとして、年率5%、10%、15%で取り崩すと、それぞれどのように減っていくかをシミュレーションしたものです。たとえば年率5%の場合、1年目は3000万円 × 5%の150万円、2年目は2850万円 × 5%の142万円を・・・と定率で取り崩すとすれば、何歳までお金が残るか計算しています。