退職金を使った運用は、若い世代の資産運用とは主に2つの違いがあります。

ひとつめは、投資資金がある程度大きな金額であること。

ふたつめは、初めに誤った方法を選択してしまうと、軌道修正や失敗を取り戻す時間的猶予が少なくなってしまうことです。

私は国内の大手生命保険会社に勤務経験があり、ファイナンシャルプランナーとして1000世帯以上ものお客様のファイナンシャル・プランニングに携わってきました。

そこで今回は定年後にもらえる退職金の平均的な金額とあわせて、失敗する前に知っておきたい退職金の運用法をご紹介します。

退職金の運用で好まれる金融商品の特徴

はじめに、フィデリティ・インスティテュート退職・投資教育研究所「資産運用ナビ」の2019年2月「高齢者の金融リテラシー調査」から退職金の運用で好まれる金融商品の傾向を見てみましょう。

あれば良いと考える金融商品

  • 投資収益率は低い(1-2%)が、あまり値下がりの可能性の高くない(10%くらいの下落にとどまる)金融商品…22.2%
  • 毎月、定額で受け取れる分配金がある投資信託…20.7%
  • 老後の後半の収入を確保してくれるような保険商品…15.2%
  • 多少の値下がり(20%くらい)は覚悟するので、投資収益率が高い(7-8%)金融商品…12.0%
  • 子どもに相続できる金融商品…7.9%
  • 自分の代わりに運用してくれるような金融商品…6.5%
  • 残り寿命にあわせてひきだしていけるような投資信託…5.3%
  • 残高の一定比率で引き出せるような引出型投資信託…1.2%
  • その他…9.0%

60代から退職金を投資に回す特性上、ローリスク・ローリターンな金融商品や、毎月分配型の投資信託、老後の後半の収入を確保してくれるような保険商品など守備的な要素のある商品を希望する方が多いようです。