いまだ終息の兆しが見えないコロナ禍のなかで、「健康」や「お金」に対する漠然とした不安が強くなった、という人も多いことでしょう。
「人生100年時代」。老後の生活は決して短いものではないと考えられます。そんな今、シルバー世代で「私的な年金・保険」などでお金の備えをしている人は、どのくらいいるのでしょうか。
60歳以上、「私的な年金・保険」で備えている人はどのくらいいるの?
内閣府が公表した「高齢者の経済生活に関する調査 令和元年(2019年)度」では、シルバーエイジの生活意識全般に関する調査結果をみることができます。
同調査の結果から、個人年金・企業年金や、生命保険などで老後の不安に備えている人が、どのくらいいるのかを見ていきたいと思います。
まずは、回答者である、全国の 60 歳以上(2019年1月1日現在)の男女1755人全体を見てみましょう。
私的な年金・保険で備えている人の割合 【全体(N=1755)】
個人年金…12.2%
企業年金…8.5%
病気やけがのための保険…29.3%
介護のための保険…5.5%
生命保険…48.3%
その他…0.3%
いずれも加入していない…36.2%
不明・無回答…1.1%
では、これを性別・年齢ゾーンごとに見ていきます。まずは男性から。
【男性】60~64歳(n=127)
個人年金…22.8%
企業年金…18.1%
病気やけがのための保険…27.6%
介護のための保険…5.5%
生命保険…58.3%
その他…―%
いずれも加入していない…26.8
不明・無回答…0.8%
【男性】65~69歳(n=183)
個人年金…11.5%
企業年金…10.4%
病気やけがのための保険…38.3%
介護のための保険…7.1%
生命保険…55.7%
その他…―
いずれも加入していない…30.1%
不明・無回答…0.5%
【男性】70歳~74歳(n=199)
個人年金…8.5%
企業年金…10.1%
病気やけがのための保険…32.2%
介護のための保険…3.0%
生命保険…49.7%
その他…1.0%
いずれも加入していない…33.2%
不明・無回答…2.0%
【男性】75歳~79歳(n=170)
個人年金…12.4%
企業年金…10.0%
病気やけがのための保険…25.9%
介護のための保険…4.7%
生命保険…41.8%
その他…―%
いずれも加入していない…42.4%
不明・無回答…0.6%
【男性】80歳以上(n=175)
個人年金…6.9%
企業年金…6.9%
病気やけがのための保険…16.6%
介護のための保険…4.6%
生命保険…28.6%
その他…―%
いずれも加入していない…53.7%
不明・無回答…4.6%
次は女性について見ていきます。
【女性】60~64歳(n=131)
個人年金…24.4%
企業年金…11.5%
病気やけがのための保険…43.5%
介護のための保険…6.9%
生命保険…64.9%
その他…―%
いずれも加入していない…18.3%
不明・無回答…%
【女性】65~69歳(n=208)
個人年金…19.2%
企業年金…7.7%
病気やけがのための保険…38.9%
介護のための保険…7.2%
生命保険…59.1%
その他…0.5%
いずれも加入していない…24.0%
不明・無回答…―%
【女性】70歳~74歳(n=203)
個人年金…12.8%
企業年金…7.9%
病気やけがのための保険…29.1%
介護のための保険…7.9%
生命保険…49.3%
その他…―%
いずれも加入していない…32.5%
不明・無回答…0.5%
【女性】75歳~79歳(n=174)
個人年金…5.7%
企業年金…4.0%
病気やけがのための保険…28.2%
介護のための保険…5.7%
生命保険…49.4%
その他…0.6%
いずれも加入していない…38.5%
不明・無回答…1.1%
【女性】80歳以上(n=185)
個人年金…3.2%
企業年金…2.2%
病気やけがのための保険…14.6%
介護のための保険…2.2%
生命保険…30.8%
その他…0.5%
いずれも加入していない…58.4%
不明・無回答…1.1%
男女差はほとんどみられないものの、年齢層が上がるほど、「いずれも加入していない」の占める割合が高くなっていることが分かります。次は、男女ごとに、未既婚別にみていきましょう。
「未既婚別」でどうちがう?
では、未既婚別では、どのように変わってくるのでしょう。男女ごとに見ていきます。
【男性】結婚したことがない(n=38)
個人年金…15.8%
企業年金…13.2%
病気やけがのための保険…10.5%
介護のための保険…7.9%
生命保険…36.8%
その他…―%
いずれも加入していない…55.3%
不明・無回答…%
【男性】現在、配偶者がいる(n=702)
個人年金…12.4%
企業年金…11.5%
病気やけがのための保険…29.3%
介護のための保険…5.3%
生命保険…49.0%
その他…0.3%
いずれも加入していない…34.5%
不明・無回答…2.0%
【男性】配偶者と死別(n=72)
個人年金…5.6%
企業年金…2.8%
病気やけがのための保険…31.9%
介護のための保険…1.4%
生命保険…37.5%
その他…―%
いずれも加入していない…45.8%
不明・無回答…1.4%
【男性】配偶者と離別(=42)
個人年金…7.1%
企業年金…7.1%
病気やけがのための保険…21.4%
介護のための保険…2.4%
生命保険…26.2%
その他…―%
いずれも加入していない…59.5%
不明・無回答…―%
【女性】結婚したことがない(n=27)
個人年金…11.1%
企業年金…11.1%
病気やけがのための保険…11.1%
介護のための保険…3.7%
生命保険…59.3%
その他…―%
いずれも加入していない…29.6%
不明・無回答…―%
【女性】現在、配偶者がいる(n=582)
個人年金…15.1%
企業年金…7.6%
病気やけがのための保険…33.5%
介護のための保険…6.4%
生命保険…54.6%
その他…―%
いずれも加入していない…29.6%
不明・無回答…0.5%
【女性】配偶者と死別(n=36)
個人年金…6.7%
企業年金…1.6%
病気やけがのための保険…24.7%
介護のための保険…5.5%
生命保険…40.4%
その他…1.2%
いずれも加入していない…46.7%
不明・無回答…0.8%
【女性】配偶者と離別(n=38)
個人年金…16.7%
企業年金…19.4%
病気やけがのための保険…33.3%
介護のための保険…5.6%
生命保険…38.9%
その他…―%
いずれも加入していない…41.7%
不明・無回答…―%
「生命保険」は配偶者がいる人で高く、離別者・死別者で低い傾向があります。また、「個人年金」と「企業年金」は死別者で低いことが分かります。
次は、住居形態ごとにみていきます。
住居形態ごとにみた「私的な備え」
では、住まいが「持家」か「賃貸」か、によって違いはあるのでしょうか。持家についてはローンの返済有無別に見ていきましょう
持家(住宅ローン返済中)(n=265)
個人年金…12.5%
企業年金…9.1%
病気やけがのための保険…29.8%
介護のための保険…5.7%
生命保険…51.3%
その他… 0.4%
いずれも加入していない…34.7%
不明・無回答…0.8%
持家(住宅ローン返済なし)(n=1327)
個人年金…13.1%
企業年金…8.7%
病気やけがのための保険…30.6%
介護のための保険…5.7%
生命保険…49.6%
その他…0.3%
いずれも加入していない…34.4%
不明・無回答…1.3%
賃貸住宅(=137)
個人年金…5.1%
企業年金…5.1%
病気やけがのための保険…16.8%
介護のための保険…2.2%
生命保険…31.4%
その他…―%
いずれも加入していない…54.0%
不明・無回答…0.7%
その他(n=25)
個人年金…―%
企業年金…12.0%
病気やけがのための保険…28.0%
介護のための保険…12.0%
生命保険…40.0%
その他…―%
いずれも加入していない…48.0%
不明・無回答…―%
住居形態別にみると、「いずれも加入していない(54.0%)」が高く、半数以上となっている点が特徴といえるでしょう。また、「生命保険(31.4%)」「病気やけがのための保険(16.8%)」「個人年金(5.1%)」がそれぞれ低くなっています。次では、仕事や暮らし向きの状態によって、どのように違うかみていきます。
「就業有無」別に見る「私的な備え」の状況
ここでは、収入のある仕事をしているかどうかで、私的な備えの状況がどうちがうかを見ていきます。
収入のある仕事をしている(計) (n=654)
個人年金…16.4%
企業年金…9.9%
病気やけがのための保険…37.5%
介護のための保険…7.2%
生命保険…58.1%
その他…0.2%
いずれも加入していない…26.8%
不明・無回答…0.2%
収入のある仕事はしていない(n=1,101)
個人年金…9.7%
企業年金…7.6%
病気やけがのための保険…24.5%
介護のための保険…4.5%
生命保険…42.4%
その他…0.4%
いずれも加入していない…41.9%
不明・無回答…1.7%
ここからは、「暮らし向き」の意識別に見ていきます。
家計にゆとりがあり、まったく心配ない(n=353)
個人年金…19.0%
企業年金…11.6%
病気やけがのための保険…34.3%
介護のための保険…7.4%
生命保険…49.3%
その他…―%
いずれも加入していない…32.0%
不明・無回答…1.1%
家計にゆとりはないが、それほど心配ない(=947)
個人年金…12.5%
企業年金…9.1%
病気やけがのための保険…30.9%
介護のための保険…5.6%
生命保険…52.6%
その他…0.3%
いずれも加入していない…32.1%
不明・無回答…1.2%
家計にゆとりがなく、多少心配である(n=356)
個人年金…7.0%
企業年金…5.3%
病気やけがのための保険…23.3%
介護のための保険…4.2%
生命保険…41.3%
その他…0.3%
いずれも加入していない…45.2%
不明・無回答…1.4%
家計が苦しく、非常に心配である(=90)
個人年金…3.3%
企業年金…2.2%
病気やけがのための保険…18.9%
介護のための保険…2.2%
生命保険…27.8%
その他…1.1%
いずれも加入していない…57.8%
不明・無回答…―%
次は、1カ月の収入ゾーンごとに見ていきます。(配偶者がいる人については、夫婦の収入です)
「収入(1カ月あたり)ゾーン別」に見た、私的な備えの状況
収入あり計 (=1,739)
個人年金…12.2%
企業年金…8.6%
病気やけがのための保険…29.6%
介護のための保険…5.5%
生命保険…48.5%
その他…0.3%
いずれも加入していない…35.9%
不明・無回答…1.2 %
ここから先は、収入ゾーンごとに見ていきます。
5万円未満(n=39)
個人年金…7.7%
企業年金…2.6%
病気やけがのための保険…10.3%
介護のための保険…2.6%
生命保険…48.7%
その他…―%
いずれも加入していない…46.2%
不明・無回答…―%
5~10万円未満(n=243)
個人年金…5.8%
企業年金…2.9%
病気やけがのための保険…17.7%
介護のための保険…3.3%
生命保険…36.6%
その他…0.8%
いずれも加入していない…53.5%
不明・無回答…0.4%
10~20万円未満(n=538)
個人年金…10.0%
企業年金…3.5%
病気やけがのための保険…25.8%
介護のための保険…4.5%
生命保険…40.7%
その他…0.4%
20~30万円未満(n=449)
個人年金…12.0%
企業年金…11.1%
病気やけがのための保険…31.4%
介護のための保険…4.7%
生命保険…52.3%
その他…0.2%
いずれも加入していない…31.6%
不明・無回答…0.4%
30~40万円未満(n=217)
個人年金…17.1%
企業年金…15.7%
病気やけがのための保険…41.0%
介護のための保険…9.7%
生命保険…64.5%
その他…―%
いずれも加入していない…22.1%
不明・無回答…―%
40~60万円未満(n=88)
個人年金…20.5%
企業年金…21.6%
病気やけがのための保険…51.1%
介護のための保険…9.1%
生命保険…61.4%
その他… ― %
いずれも加入していない…19.3%
不明・無回答…1.1%
60万円以上(n=66)
個人年金…28.8%
企業年金…21.2%
病気やけがのための保険…21.2%
介護のための保険…51.5%
生命保険…12.1%
その他…71.2%
いずれも加入していない…―%
不明・無回答…13.6%
さいごに
働き盛りの現役世代にとって、年金受給開始年齢の引き上げ、定年の延長といったニュースはまだまだ先の話に聞こえてしまうかもしれません。でも時間はあっという間に過ぎていきます。公的年金や預貯金に加え、私的な年金や保険などによって備えていくことも、安心した老後のための、一つの選択肢であるかもしれませんね。
ご参考:令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査「調査の仕様」について
(1)調査地域:全国
(2)調査対象者:全国の 60 歳以上(平成 31 年1月1日現在)の男女(施設入所者は除く)
※本調査については、本格的な高齢期を迎える前からの年代による意識の違い等についても把握するため、60 歳以上の男女を調査対象としている。
(3)標本数:男女あわせて 3,000 人
(4)調査事項
(ア)生きがい、健康状態、社会的活動に関する事項
(イ)仕事に関する事項
(ウ)経済的な暮らし向きに関する事項
(エ)貯蓄、老後の備え等に関する事項
(5)調査方法:調査員による面接聴取法
(6)調査期間:令和2(2020年)年1月9日~令和2(2020年)年1月26日
同調査「第一章 調査の目的及び方法等」より抜粋
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参考】
「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査結果(全体版)」内閣府