さいごを「どこで」過ごすか
病院や施設
病院には、24時間医師や看護師がいるため、急変したときなどすぐに対応してもらえる安心感があります。
施設の場合は、医師が常駐していないことが多いため、看護師が医療的ケアのリーダーとなります。
介護職は、利用者の一番近くで生活を支援する中心となり、本人を支えていきます。
自宅
家族の介護だけでなく、訪問看護などのサービスを組み合わせ、本人の状態に合わせたサポートをしていきます。在宅の場合、病院や施設では得られない安らぎをもたらすことができるのも、大きな特徴です。
家そのものの雰囲気やにおい・生活音などが、懐かしさや癒しとなり、あわせて家族の介護を受けられることが、つらい気持ちを緩和するでしょう。
「終末期」に起こる、さまざまな変化
身体的な変化
症状の進み方は、疾病や認知症の度合いによってさまざまです。
動かすことが少ない身体の各所は、機能が低下したり、維持していた能力を奪ったりします。発熱や疼痛、倦怠感、呼吸苦、浮腫などが伴い、さらなる全身状態の悪化や生活の質の低下を招く場合も多いです。
認知症の場合、苦痛に気持ちが集中するためか、BPSD(※)が目立たなくなることがあります。
理解力や意思表示力は低下しているので、関わる介護者は、理解できる言葉やジェスチャーを交えるなどの工夫が必要です。
(※)BPSD:認知症の人の、心理や行動に表れる症状のこと。(例:暴言、暴力や幻覚、徘徊)
心理的な変化
元気だった頃のように、五感から入る刺激に対して、自分らしく反応することが困難になります。
長い間寝たきりだった場合は、意識や意欲の低下、思考力が退行していくこともあります。また、死の予感を抱いていることも多いです。
認知症の場合、「何もわからないから怖くない、幸せだろう」と考える人もいるかもしれません。しかし実際、本人は「何かが起こっている」「今までと違う」など、本能的に変化に気づいているといわれています。
行動の変化
生活への参加が減り、不活発な日が増えます。
行動は、その人の意思がかたちとして表現されるものです。何十年も自分の好みに従って行動してきた「自分流」をおこなえないことは、「自分らしさ」を失うということなのです。