私的年金は確定拠出型が主流に

最近は公的年金(確定給付年金)に加え、企業型確定拠出年金(DC)やiDeCo(個人確定拠出年金)での運用も増えてきています。その背景には確定給付年金加入企業数が頭打ちになる一方で、確定拠出年金への加入が増えていることが挙げられます。

確定給付年金は年金額を加入者に保障しますから、運用結果が伴わなければ企業が運用不足分を補填しなければなりません。確定給付年金における企業の運用結果責任は大きいのです。一方、確定拠出年金は運用プランを決めるのは加入者である従業員ですから、企業の負担は格段に少ないわけです。

しかし、ここに落とし穴があります。確定給付年金から確定拠出年金への移行は、言い換えれば運用責任を企業から加入者へ転嫁することです。加入者としては将来自分が受け取る年金を増やすため、しっかりとした運用プランを立てなければいけません。

結局、年金を「自分事」とするためには、公的年金であれば「ねんきん定期便」を確認し、企業年金であれば将来の受給額を知っておくことにつきます。余裕があれば、iDeCo(個人確定拠出年金)や少額投資非課税制度の「つみたてNISA)などを利用して、自分自身の年金を作ることです。

このような小口投資でさえ、それを勧めると証券会社や銀行の手先だと批判されることもあるのですが、そうではありません。言いたいのは、金融商品を買う買わないに関わらず、自助努力をしないと結局のところ資産形成はできないということです。

令和の時代、やり方次第ではほぼ無手数料で公的年金以上のリターンを求めることも可能になってきました。情報格差が資産格差につながる時代になってきているのです。

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)