厚生労働省の簡易生命表によると、2019年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳となり、いずれも過去最高を更新しました。

人生100年時代が現実になりつつある中、老後に対する不安を抱く方も多いと思います。

では、実際に老後といわれる70代は、どのぐらいの貯蓄があるのでしょうか。

この記事では、定年後70代がどの程度の貯蓄を保有しているのか確認してみましょう。

70歳以上の貯蓄額はいくらか

それでは、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」から、70歳以上の金融資産保有額をみていきましょう(金融資産保有世帯)

  • 100万円未満:4.9%
  • 100~200万円:4.0%
  • 200~300万円:5.1%
  • 300~400万円:5.4%
  • 400~500万円:2.8%
  • 500~700万円:8.9%
  • 700~1000万円:9.3%
  • 1000~1500万円:11.9%
  • 1500~2000万円:8.8%
  • 2000~3000万円:12.3%
  • 3000万円以上:16.1%

 

  • 平均:1978万円
  • 中央値:1100万円

平均は1978万円と2000万円近い貯蓄額がありますので、老後資金として十分な額に見えますが、老後資金は2000万円で安心でしょうか。
2019年に「老後資金2000万円不足問題」が話題になりました。これは老後年金収入の他に約2000万円が足りなくなるといったもので、数字の根拠は下記から出てきたものです。

金融審議会「高齢社会における資産形成・管理」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の月額の収入は20万9198円、支出は26万3718円となり、月額5万4520円の赤字となります。

老後生活を30年とすると

  • 54,520円×12カ月×30年=1962万7200円

約2000万円が不足するというのが、老後資金2000万円問題の内容でした。

ただ、70歳以上の金融資産保有額は平均1978万円となっていましたので、十分な貯蓄額を保有しているように見えます。

しかし、平均は一部の高額保有者のデータで大きく上がってしまうため、実態に即さないデータになる可能性があります。

実際、2000万円以上の金融資産を保有している割合は、28.4%に過ぎません。そこで、データを並べた時にほぼ真ん中に来る「中央値」の方が、よりリアルな貯蓄額を表しているといえます。

70歳以上の貯蓄額の中央値は1100万円となっていますから、老後資金として十分な金融資産を保有しているとはいえない額ではないでしょうか。

老後も資産運用を続ける

老後資金として必ず2000万円を貯蓄しなければいけないわけではありませんが、ある程度まとまった資金は必要です。70歳以上の金融資産保有額の中央値1100万円では、老後資金が不足する可能性は高くなります。

人生100年時代を迎えつつある中、老後資金も増えていきます。老後、毎月の生活費が5万円不足するとすれば、人生が10年伸びると600万円上乗せしなければいけません。定年を迎えるまでに十分な老後資金を用意できるなら問題ありませんが、それが現実的に厳しい場合、どのようにすればいいのでしょうか。

低金利が続いていますので、預貯金ではほとんどお金が増えません。ですから、株式や債券などでの投資をおすすめします。 ただし、現役時代よりもリスクを抑えるようにしなければいけません。老後資金を大きく減らすと、取り戻すのが困難になるからです。

リスク資産である株式の比率は、多くても30%には抑えたいところです。残りは国債などの安全資産で運用します。また、70代でも老後は10年以上あると考え、長期での運用を心掛けるようにしましょう。

まとめにかえて

70歳以上の貯蓄の中央値では、老後資金が不足する可能性があります。ですから、なるべく早くから資産運用を始め、自助努力で老後のお金を用意しておくようにしましょう。また寿命が延びていますので、70代でも資産運用を続けるようにしていくと良いでしょう。

参考資料

山下 耕太郎