平均は1978万円と2000万円近い貯蓄額がありますので、老後資金として十分な額に見えますが、老後資金は2000万円で安心でしょうか。
2019年に「老後資金2000万円不足問題」が話題になりました。これは老後年金収入の他に約2000万円が足りなくなるといったもので、数字の根拠は下記から出てきたものです。
金融審議会「高齢社会における資産形成・管理」によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の月額の収入は20万9198円、支出は26万3718円となり、月額5万4520円の赤字となります。
老後生活を30年とすると
- 54,520円×12カ月×30年=1962万7200円
約2000万円が不足するというのが、老後資金2000万円問題の内容でした。
ただ、70歳以上の金融資産保有額は平均1978万円となっていましたので、十分な貯蓄額を保有しているように見えます。
しかし、平均は一部の高額保有者のデータで大きく上がってしまうため、実態に即さないデータになる可能性があります。
実際、2000万円以上の金融資産を保有している割合は、28.4%に過ぎません。そこで、データを並べた時にほぼ真ん中に来る「中央値」の方が、よりリアルな貯蓄額を表しているといえます。
70歳以上の貯蓄額の中央値は1100万円となっていますから、老後資金として十分な金融資産を保有しているとはいえない額ではないでしょうか。