皆さんの勤務先は何歳で定年退職となるでしょうか。

厚生労働省公表の「就労条件総合調査」(平成29年)によると、95.5%の企業で定年制があり、そのうち一律に定年制を定めている企業が97.8%。さらに定年を60歳とする企業が79.3%、65歳とする企業が16.4%となっています。

いずれにせよ現在は60歳代で定年を迎える人が多いことがわかりますが、60歳代で定年退職を迎えたら、そこから長い老後生活が待っています。

ゆとりのある老後を待ち望む人がいる一方で、長い老後生活、お金の不安でいっぱいという人も少なくないのではないでしょうか。

そこで、今回は定年後60歳代の貯蓄額に潜む老後の落とし穴についてみていきたいと思います。

60歳代の平均貯蓄額と中央値は

まずは定年後60歳代の貯蓄額についてみていきたいと思います。金融広報中央委員会実施の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」の結果によると、60歳代の平均貯蓄額と中央値は下記の通りです。

平均貯蓄額:2203万円
中央値:1200万円

中央値とは、貯蓄額が少ない順に並べた時に全体の真ん中にくる人の金額を表しています。

平均値は一部の極端に貯蓄が多い人の額に引きずられてしまい、値が大きくなりがちですが、中央値は金額で引きずられることがないため、より実態を反映した値といえます。

さらに、同様の調査で、「金融資産を保有していない世帯を含んだ60歳代の平均貯蓄額」と中央値は下記の通りです。

平均貯蓄額:1635万円
中央値:650万円

さらに、60歳代の貯蓄額の分布をみると、以下の通りです。

  • 100万円未満:4.5%
  • 100万円以上500万円未満:18.2%
  • 500万円以上1000万円未満:14.5%
  • 1000万円以上1500万円未満:12.8%
  • 1500万円以上2000万円未満:7.5%
  • 2000万円以上:32.1%
  • 無回答:10.4%

ここで目を引くのは、貯蓄額2000万円超と回答した世帯が全体の32.1%という結果です。

これは定年後に企業から受け取る退職金が大きく影響しているのではないでしょうか。
定年後2,000万円の貯蓄があれば、老後生活もゆとりが持てると思う人も少なくないと思います。

しかし、昨年金融庁からレポートが公表されたことで話題となった「老後2,000万円問題」によると、老後生活は年金収入以外に2,000万円準備しておかないと老後の生活費が不足してしまうと言われています。

これは夫がサラリーマン、妻が専業主婦という世帯の試算にはなります。しかし、ここで気をつける必要があるのが、この2,000万円はあくまでも老後生活費に限った話になっているという点です。

現役世代の時もそうですが、老後生活においても、出費は生活費だけとは限りません。

マイホームの修繕や手すりや滑り止めの取付け、子供の結婚資金や孫にかかる費用、介護費用など生活費以外にも出費はかさむことが予想されます。

そのため、老後資金は決して2,000万円がゴールとは限らないという点は、注意が必要といえます。

老後資金を準備するために今からできることは

前述のとおり、老後資金は生活資金に限ったことではありません。そのため、家族構成や居住地、趣味や健康状態によって、老後資金の必要額は人によって様々です。

将来どのような家族構成でどのような健康状態になるかはいざ老後生活が始まってみないとわからないため、将来どのくらい老後資金が必要かを予想することは難しいと言えます。

しかしながら、私たちは働き盛りの今から老後ゆとりをもって生活できるだけの準備を始める必要があります。

自分は将来どれくらいお金が必要なのかよくわからないという人は、ファンナンシャルアドバイザーに一度相談してみてはいかがでしょうか。

定期的に届く「ねんきん定期便」や、自分が現在加入している生命保険や医療保険の保障内容、つみたてニーサやイデコの運用状況がわかる資料があればより具体的に今の貯蓄活動で将来どれくらい老後資金を確保できるのかが想定できます。

さらにそこから、自分が増やすべき金融商品や、自分には不要で見直しが必要な金融商品を知ることができます。

最近では無料で相談できるサービスも増えてきていますので、一度時間を作って自分の将来をしっかり向き合ってみてはいかがでしょうか。

おわりにかえて

令和3年4月から、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、「70歳までの就労機会の確保」が企業に努力義務化されます。海外に目を向けてみると、アメリカやイギリスは定年制度が原則的に禁止されています。

今後は日本の定年制度も時代の働き方に応じて見直される機会も増えるかもしれません。それに伴って退職金制度も見直しの動きが出てきていると言えます。

今現役世代の私たちが老後を迎える頃には、以前のように2ヶ月に一度の年金だけで生活できるとも限りません。

そうなると、しっかりと準備をした人と、何もしなかった人の差が今以上に広がってくることも想定されます。

将来ゆとりを持って生活するために、皆さん今から資産運用等で少しずつ準備をはじめてみてはいかがでしょうか。

参考資料