コロナ禍で耳にするようになった「コロナ離婚」。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、夫婦が通常よりも長い時間を一緒に過ごすことになり、不満が溜まりに溜まって離婚を決断するのだとか。

今年8月に厚生労働省が公表した統計によると、今年1~6月に離婚した夫婦は10万122組で、前年同期比では9.8%減という結果になっています。しかし、この数字は「今はこういう時期だから」と手続きを先延ばしにしているだけで、コロナ禍が落ち着いてきたら離婚する人が増えるのでは?という懸念もあるようです。

実際に、筆者の知人の弁護士も「コロナ禍で仕事が減るかと思ったら、離婚の相談で普段よりも仕事が増えた」と言っていたので、今後もしかしたら離婚件数が増えてくる可能性もあるかもしれません。

さて、離婚するとなると切っても切り離せないのが「お金」の話。特に、子どもがいる場合だと「養育費をきちんと支払ってもらえるか」というのは、非常に大きな問題になってくるでしょう。

日本では、離婚時に養育費に関して取り決めたにもかかわらず、約束通りに養育費が支払われないケースも少なくなく、子どもの貧困を招く一因になっています。

このような現状から、最近「養育費保証サービス」というサービスが増えてきました。もし、子どもがいる方で離婚を考えているのならば、養育費保証サービスの内容や注意点について知っておくと、いつか役に立つかもしれません。

養育費の支払い状況は?

子どもがいる夫婦が離婚したら、養育費を支払うのは当たり前だと思うでしょう。しかし、日本の養育費支払いはショッキングな状況です。

厚生労働省の「平成28年全国ひとり親世帯等調査」によると、調査時点で「現在も養育費を受けている」と回答したのは母子家庭で24.3%、父子家庭で3.2%となっており、大多数のひとり親が養育費を受け取れていないことがわかります。

欧米では、養育費を給与天引きにして強制徴収する、親が支払わない場合は国が立て替えるなどの制度がある国もあり、滞納すると厳しい罰則を科せられることもあるそうです。一方、日本では養育費の支払いはあくまでも本人の意思に委ねられており、養育費を支払わなくてもこれといった罰則もありません。

養育費を支払わない元配偶者に対し養育費を支払ってもらうには、内容証明を送る、裁判所を通じて履行命令などを出す、それでもだめなら裁判所に申し立てを行い強制執行する、などの方法がありますが、いずれも多くの手間と負担がかかります。

養育費を払わない理由は?

養育費が支払われない原因はさまざまで、支払い義務があることを知っているのに無視しているような悪意があるケースもあれば、「離婚時に養育費の取り決めがなかったから払わなくてよいだろう」と思っているケースもあります。

当初は支払うつもりだったけれど、子どもに会わせてもらえないのでストップした、再婚したので支払いたくなくなった、収入が減ったから払えない…という人もいるようです。

また、「離婚した相手と関わりたくない」「どうせ支払わないだろう」という理由で、養育費について話し合い自体をしていないことも。養育費は親ではなく「子どもの権利」なのですが、親の気持ちや事情で決められてしまっているケースも多いのです。

「養育費保証サービス」が登場

養育費の支払い率が低さや、子どもやひとり親世帯の貧困率が上がっていることから、「養育費保証サービス」というサービスが登場しました。サービス内容は名称通り、養育費受取人に代わり養育費の集金代行や、万が一、養育費の未払いが発生した場合の一定期間分の養育費の保証などです。

たとえば、株式会社Mirailが運営している「養育費保証のミライネ」では、最大24カ月の養育費の受け取りを保証しています。必要な場合は、1年分の養育費を一括で前払いしてもらうことも可能です。

養育費に関する連絡もミライネが代行してくれるため、元配偶者に連絡を取る精神的な負担も軽減でき、今まで養育費を受け取れなかった人にとっても、養育費保証サービスは大きな助けになるでしょう。

一方で、利用の際には注意したいことがあります。それは、手数料がかかるということです。

手数料の種類や金額は異なりますが、「初回保証料:月額養育費の1ヵ月分」「更新料:月額養育費の50%」など、一定の手数料がかかるのが一般的です。養育費保証サービスの利用を決める前には、手数料がどのタイミングでいくらかかるのかをきちんと把握し、くれぐれも生活の負担にならないよう気を付けましょう。

養育費問題に取り組む自治体も

養育費不払いの問題に対して国も議論を始めていますが、まだまだ支援は追い付いていません。そんな中、国よりも先に、独自に養育費問題に取り組む自治体も出てきています。

たとえば、東京都豊島区では養育費の取り決めに関するサポートを行うほか、民間の養育費保証サービスを利用する場合は支払った初回保証料に対して補助金を支給するなど、養育費に関するサポートを充実させています。

他にも兵庫県明石市や大阪府大阪市、宮城県仙台市など、独自に養育費保証支援を行っている自治体もあるので、居住地の自治体に養育費に関する支援制度がないか確認するといいでしょう。

おわりに

養育費不払いについて聞いたことはあっても、これほど支払い率が低いとは知らず驚いた方もいるかもしれません。

コロナ離婚を決断したとしても、元配偶者が当初の取り決め通りに養育費を支払ってくれるとは限りません。少し前までは泣き寝入りするか、法的手段を取るかという選択しかありませんでしたが、最近は「養育費保証サービス」という選択肢も出てきています。

手数料という問題はありますが、1円も養育費が受け取れないことに比べれば、養育費保証サービスを利用するのも一つの手ではないでしょうか。また、自治体が独自に支援に取り組んでいることもあるので、もしものときのためにぜひ自治体の制度もチェックしてみてくださいね。

【参考】
・「コロナで離婚、増加せず」(共同通信)
・「平成28年全国ひとり親世帯等調査」(厚生労働省)
・「母子家庭への未払い率8割!養育費が不払いになったときの対処法とは?」(離婚弁護士相談リンク)
・「MIRAINEウェブサイト」(株式会社Mirail)
・「養育費「逃げ得」防げ 国・自治体の動き本格化」(日本経済新聞)
・「主な地方自治体一覧(2020年度6月版)」(株式会社イントラスト)

吉田 貴絵