厚生労働省の「平成28年全国ひとり親世帯等調査」によると、調査時点で「現在も養育費を受けている」と回答したのは母子家庭で24.3%、父子家庭で3.2%となっており、大多数のひとり親が養育費を受け取れていないことがわかります。

欧米では、養育費を給与天引きにして強制徴収する、親が支払わない場合は国が立て替えるなどの制度がある国もあり、滞納すると厳しい罰則を科せられることもあるそうです。一方、日本では養育費の支払いはあくまでも本人の意思に委ねられており、養育費を支払わなくてもこれといった罰則もありません。

養育費を支払わない元配偶者に対し養育費を支払ってもらうには、内容証明を送る、裁判所を通じて履行命令などを出す、それでもだめなら裁判所に申し立てを行い強制執行する、などの方法がありますが、いずれも多くの手間と負担がかかります。

養育費を払わない理由は?

養育費が支払われない原因はさまざまで、支払い義務があることを知っているのに無視しているような悪意があるケースもあれば、「離婚時に養育費の取り決めがなかったから払わなくてよいだろう」と思っているケースもあります。

当初は支払うつもりだったけれど、子どもに会わせてもらえないのでストップした、再婚したので支払いたくなくなった、収入が減ったから払えない…という人もいるようです。

また、「離婚した相手と関わりたくない」「どうせ支払わないだろう」という理由で、養育費について話し合い自体をしていないことも。養育費は親ではなく「子どもの権利」なのですが、親の気持ちや事情で決められてしまっているケースも多いのです。