背伸び消費が原因で離婚したケースも
30代のAさん(女性)は20代の頃から会社を経営し、収入も1,000万円以上。20代で同い年の男性と結婚しました。Aさんは都内の花火が見えるタワーマンションに住み、独身時代は余裕のある生活を送っていたようです。
「とはいっても、こだわったのは自宅の場所くらい。服や持ち物にお金をかけたいタイプではないので、浪費はしていませんでした。若かったので、貯蓄はそこまでなかったですが」
しかし、それを変えることになったのが夫。低年収だった夫は結婚を機に会社をやめ、フリーのコンサルタントを名乗るように。夫の仕事には口を出さないAさんでしたが、夫は「人脈を広げるために交流会に行く」「よりよいスーツを」「話題のあの店に行っておかないと」などと、どんどんお金を使うようになっていったそう。ちょっとした日用品も高価なものを選ぶようになった夫は、気づけば1年で300万円以上を浪費。Aさんの貯金を切り崩し、さらに夫自身にはほぼ収入がない状態だったといいます。
「私も結婚に浮かれていた部分があったけれど、彼は仕事といってほとんど遊んでいただけ。私よりはるかに高いスーツを着て『君は年収1,000万円あるんだから、このくらいで怒らないで』といわれたとき、すっかり熱が冷めました……」
Aさんは夫と貯蓄や今後のことについて話し合ったものの、結局認識の溝は埋まらず、結婚して1年あまりで離婚となったそうです。
「子どものことも考えていたけれど、彼は貯蓄を切り崩すことにも抵抗がなく、この人と一緒では破産する将来しか見えませんでした。彼は離婚後にすぐ別の女性経営者と再婚したので、お金がないと生きていけない人だったんだと思います。早めに決断してよかったですよ」
年収ではなく支出とのバランスが重要
もちろん年収が高ければ、よいものを購入できたり、よい家に住んだりすることができるでしょう。しかし、大切なのは支出とのバランスです。たとえ配偶者が高給取りでも、調子に乗りすぎてしまうのは考えもの。世帯年収が上がってもその基本を忘れずにいなければ、あっという間に貯蓄はなくなり「高収入貧乏世帯」に陥ってしまいます。年収に関わらず、しっかり自分たちの収支バランスを認識し、計画的に日々を過ごしていきたいものですね。
【参照】
国税庁「平成30年分 民間給与実態統計調査」
総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯」7-1貯蓄・純貯蓄・負債現在高階級,年間収入階級別
古谷 梨子