この記事の読みどころ
- 2016年4月に東京・池袋の繁華街の中にある公園がリニューアルオープンしました。芝生公園化やカフェ併設によりイメージチェンジに成功し、豊島区が描く「国際アート・カルチャー都市構想」の中で人の流れを変える一翼を担っています。
- カフェ併設の公園はまだ例が少ないと思われますが、その要因の1つに、現行の「都市公園法」では民間企業が公園内にカフェや売店等を設置できるのが10年までとなっている点が挙げられます。
- 国土交通省は都市公園法を改正する方針を固めたようです。都市公園の活用の幅が広がれば、それに関係する民間企業の事業機会が広がるほか、街における人の動線の変化で、地域の不動産の競争力も変わってくる可能性があります。
東京・池袋のイメージ
東京の池袋。JR山手線を始め、4社8路線が乗り入れ、1日約260万人の乗降者数を誇る、新宿に次ぐ国内2位(世界2位)の巨大ターミナル駅を抱える、東京でも有数の街です。
この池袋に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
最近でこそ、「住みたい街ランキング」の上位に顔を出すようになってきましたが、一方で、「繁華街で治安が悪そう」、「雑然としている」、「何となく垢抜けていない」というイメージを持たれている方も少なからずいらっしゃるように思います。
池袋の繁華街の中にリニューアルオープンした南池袋公園
池袋駅の東口からほど近いところにある南池袋公園。豊島区では2番目に大きい公園です(1番は池袋駅西口の立教大学のキャンパス近くにある西池袋公園)。
リニューアル前は、街の中にあるわりには広めという典型的な都市公園でした。また、ボランティア団体や行政による炊き出しなどのホームレス支援の場としても使われていたせいか、豊島区の資料によると、「ホームレスが滞留している公園」というイメージが地域住民の間に根強くあったようです。
その南池袋公園を、特に若いファミリー層が子供連れで訪れたいと思える公園にしようと、7年越しの整備工事と地下変電所建設工事が行われ、2016年4月に全面リニューアルオープンとなりました。
リニューアルオープンの賑わいが続く
リニューアル後の公園は、木が多めの公園とはとって変わり、敷地の多くを芝生にして空を強調した開放的なスペースとなりました。
その結果、南池袋公園は、豊島区の思惑通り、休日には、子ども連れのファミリーが集まる場所となりました。また、芝生でのんびり過ごす人も多く見られるようになり、池袋の繁華街の中にある公園とは思えないほどお洒落な雰囲気を醸し出しています※。
そして、その洒落た雰囲気をさらに際立たせているのが、公園敷地内に併設されたカフェ・レストランです。2階建ての全面ガラス張りの建物は、店内にいても公園の広さを感じさせる作りとなっており、ゆったりとした空間を演出しています。
リニューアルオープンから4か月ほど経った8月にも訪れてみましたが、相変わらず賑わっている印象を受けました。
※写真は芝生養生中のため芝生への立ち入りが制限されていた時に撮ったものですが、現在は芝生に入ることができるようになっています。