今の行動が後悔になるか、有利につながるか

「The End of History Illusion (歴史の終わりという幻想」」が「後悔」という結果に繋がる場合も少なくない、とギルバート博士らは指摘します。それは将来への想像力の欠如に関係するのかもしれません。

例えば、「入れ墨(タトゥー)」。日本では見かけませんが、アメリカでは体中にタトゥーを入れている若者をよく見かけます。恋人の名前を入れて別れた後に後悔しているという残念な話も珍しくありません。当時はその人への気持ちは変わらないと永遠の愛を迷妄したのでしょう。残念ながら半年後に気持ちが変わってしまい、消すことに一苦労…という人も少なくないのです。

一方、ハーバード・ビジネス・レビュー(※3)では、自分の価値観や性格がこれからも変化していくことを理解し、その変化を自分の望ましい方向へ導いて行くことも可能だと指摘しています。そのためには「将来の理想の自分」を想像し、現在の行動を意識的に変えていったり、今の決断が10年後に理想の自分にどう影響するか考えてみると良いとしています。

人間が幸せになることを研究する「ポジティブ心理学」では、「人は過去に左右されるだけではなく、むしろ自分が自己の未来をどう見るかによって将来は導かれていく」といいます。実は、「自分の未来をどう見るか」によって、今の自分の行動や態度は形成されるともいえるでしょう。