2月13日はことし最初の年金支給日でした。

2025年12月にJ-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60歳代の単身世帯の半数以上が「日常生活費をまかなうのが難しい」と回答しており、年金生活の厳しさがうかがえます。
 

60歳代・70歳代世帯「年金に対する意識」1/7

年金に対する意識

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」

厚生年金の平均受給額は月額約15万円といわれますが、これはあくまで平均値です。実際には受給額に大きな個人差があり、公的年金だけでは生活が厳しいと感じる方も少なくありません。

このような状況を経済的に支える制度の一つが「年金生活者支援給付金」です。

この給付金は、所得が一定基準以下などの条件を満たす場合に、2カ月に一度の年金支給日に上乗せして受け取れます。

しかし、対象者であっても自動的に支給されるわけではなく、請求手続きが不可欠という点には注意が必要です。

本記事では、2026年度から増額が決まった年金生活者支援給付金の具体的な支給条件や金額、忘れずに行いたい申請手続きについて詳しく解説します。

1. 年金生活者支援給付金、2026年4月分からの増額が決定

年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定の基準額に満たない方を支援するために、2019年10月から導入された制度です。公的年金に加えて、2カ月に一度支給されます。

この給付金は、受給している基礎年金の種類に応じて、以下の3つに分類されており、それぞれで支給要件や金額が設定されています。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

1.1 2026年度の年金生活者支援給付金はいくらになる?支給額を解説

年金生活者支援給付金の額は、物価の変動などを考慮して毎年度改定される仕組みになっています。

2026年1月23日、厚生労働省は2026年度の年金額改定を発表し、それに伴い年金生活者支援給付金の基準額も見直されました。

この改定により、2026年6月に支給される4月分から、給付額が前年度比で3.2%引き上げられることになりました。

【2026年】年金生活者支援給付金の給付基準額2/7

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」

【2025年度から2026年度への改定額】

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円→5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円→7025円・2級5450円→5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円→5620円

老齢年金生活者支援給付金の場合、この基準額を基に保険料の納付済期間などを加味して個別の支給額が計算されます。上記の金額はすべて月額であり、実際の支給時には2カ月分がまとめて年金に上乗せされます。満額に近い方であれば、1回の支給で約1万円、年間では約6万円を受け取れる計算です。

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月時点での平均給付月額は、老齢年金生活者支援給付金が4016円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円となっています。

2. 【年金生活者支援給付金】ふつうの年金本体に上乗せされる条件とは?

年金生活者支援給付金は「老齢」「障害」「遺族」の3種類に分かれており、それぞれに支給されるための条件が定められています。

具体的にどのような要件を満たせば給付金を受け取れるのか、種類ごとに確認していきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

老齢年金生活者支援給付金を受け取るためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む方全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入額(※1)と、その他の所得の合計が、生年月日に応じた以下の基準額以下であること
    • 昭和31年4月2日以降に生まれた方:90万9000円以下
    • 昭和31年4月1日以前に生まれた方:90万6700円以下(※2)

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、ここでの収入額計算には含まれません。
※2 収入と所得の合計額が一定の範囲内(昭和31年4月2日以降生まれは80万9000円超90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれは80万6700円超90万6700円以下)の場合、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件

障害基礎年金を受給している方で、下記の所得要件を満たす場合に支給の対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて基準額は加算されます)

※ 障害年金などの非課税収入は、所得の計算には含まれません。

2.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件

遺族基礎年金を受給している方が対象で、所得に関する要件は障害年金生活者支援給付金と同様です。

  • 遺族基礎年金の受給者であること
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数に応じて基準額は加算されます)

※ 遺族年金などの非課税収入は、所得の計算には含まれません。

支給対象になるかどうかは、前年の所得状況によって毎年判定されます。

また、これらの要件を満たしていても、自動的に給付金が支給されるわけではなく、ご自身で請求手続きをする必要がある点に注意が必要です。

3. 申請しないと受け取れない?年金生活者支援給付金の手続き方法のイロハ

年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性のある方には、日本年金機構から請求に関する案内が送付されます。

書類が届くタイミングや形式は、年金の受給状況によって変わります。ここでは、代表的な2つのケースでの申請手順を紹介します。

3.1 ケース1:これから老齢基礎年金を請求する方の手続き

「老齢基礎年金を新規に請求する方」請求手続きの流れ6/7

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

  1. 65歳になる誕生日の3カ月前に、年金を受け取るための「年金請求書(事前送付用)」と一緒に、給付金の請求書が郵送されます。
  2. 必要事項を記入し、年金の受給を開始したい年齢の誕生日前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所に提出します。

3.2 ケース2:すでに年金受給中で新たに対象となる方の手続き

年金生活者支援給付金請求書(はがき型)7/7

年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」

  1. 毎年9月上旬から、対象となる方へはがき型の「年金生活者支援給付金請求書」が順次送られてきます。
  2. 2025年1月以降に65歳になり、このはがき型の請求書が届いた方は、マイナポータルからの電子申請も可能です。
  3. 電子申請を利用しない場合は、はがきに必要事項を記入し、切手を貼って郵送で提出してください。

なお、支給要件の確認が別途必要な方には、A4サイズの請求書と所得状況を申告するための「所得状況届」が送付される場合もあります。

4. 《2カ月に一度、偶数月に支給》年金生活者支援給付金はいつもらえる?

年金生活者支援給付金は、年金の支給にあわせて年6回、偶数月の15日に支払われます。

もし15日が土日や祝日といった金融機関の休業日に重なる場合は、その直前の営業日に支給日が繰り上げられます。そのため、2026年2月の場合、15日が日曜日にあたるため、直前の営業日である13日の金曜日が支給日でした。

振込先の口座は年金と同じですが、通帳には年金本体とは別に「ネンキンシエンキュウフキン」などの名目で記帳されます。これは、支払日は同じでも、それぞれが別の制度として処理されているためです。

支給額は、原則として前月と前々月の2カ月分がまとめて支払われる形です。例えば、4月15日に受け取る給付金は、2月分と3月分の合計額ということになります。

5. まとめにかえて

この記事では、見落としがちな年金生活者支援給付金の制度概要と、受給に不可欠な申請手続きについて解説しました。

公的年金の支給日に給付金が上乗せされることは、年金で生活するシニア世代にとって大きな助けとなるでしょう。ご自身やご家族が対象となっていないか、この機会に一度確認してみてはいかがでしょうか。

一方で、「人生100年時代」といわれる現代では、公的な支援制度だけに頼るのではなく、自助努力も重要になります。日頃から家計管理や資産形成への意識を高めておくことが、より安心な老後につながります。

将来の資金計画を立てる第一歩として、まずは日本年金機構の「ねんきんネット」などを活用し、ご自身の年金見込額を正確に把握することから始めてみるのも一つの方法です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部社会保障班