老後2000万円問題の3つの落とし穴

まず一つ目の落とし穴は、このモデル世帯の実支出の計算は持家が前提となっていることです。

例えば老後も賃貸の場合、住む場所や広さにもよりますが、家賃10万円の賃貸住宅に20年住むと仮定すると2400万円、30年で3600万円の備えが2000万円とは別に必要となります。

二つ目の落とし穴は、このレポートは最低日常生活費で計算されており旅行や外食などある程度ゆとりのある生活設定ではないという点です。

ゆとりのある老後にいくら必要かというのは人それぞれ個人差があるかと思います。

仮に生命保険文化センターによるゆとりある老後生活費は毎月いくら必要かの調査結果である平均値の35万円で計算してみると、毎月の不足額は14万円となり、20年で3360万円、30年で5040万円という金額が出てきます。毎月いくらの生活費が必要かで備えておく金額は大きく変わるということです。

三つ目の落とし穴に、高齢者の多くが深く関わる有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅などの介護関連費用が含まれていないことが挙げられます。

LIFULL介護によれば、仮に有料老人ホームに5年間住むと約2000万円、サービス付き高齢者住宅に5年住むと約1000万円が必要となっています。

誰もが介護になる可能性がありますが、2000万円はあくまで生活費であるため介護費用も考慮すると3000万円から4000万円となり、首都圏で考えた場合には金額が上がることにも注意が必要です。