2019年に大きな話題となった「老後2000万円問題」。老後は年金収入の他に約2000万円が足りなくなるというレポートで、老後の生活資金作りに向けて国民に自助努力を促そうという金融庁の本来の目的とは裏腹に、多くの国民の不安をあおる結果となってしまいました。

では本当に老後を迎える前に貯金が2000万円あれば安泰なのでしょうか。

そこで今回は定年目前の50代にフォーカスして、50代はいくら貯金をもっているのか確認してみましょう。

50代世帯の金融資産保有額

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査〔二人以上世間調査〕令和元年調査結果」によると、50代の金融資産保有額(金融資産非保有世帯も含む)は下記のとおりです。

  • 金融資産非保有・・・21.8%
  • 100万円未満・・・4.5%
  • 100~200万未満・・・4.6%
  • 200~300万未満・・・4.0%
  • 300~400万未満・・・3.6%
  • 400~500万未満・・・3.6%
  • 500~700万未満・・・4.9%
  • 700~1,000万未満・・・7.6%
  • 1,000~1,500万未満・・・10.7%
  • 1,500~2,000万未満・・・8.3%
  • 2,000~3,000万未満・・・7.6%
  • 3,000万以上・・・8.9%
  • 無回答・・・9.8%

注目は金融資産を持っていない世帯の比率が一番多くなっているところです。次いで1000~1500万円を保有する世帯となっていることから資産の格差があることが分かります。

また50代の二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯も含む)は平均で1194万円、中央値が600万円です。
金融資産とある通り、預貯金だけでなく生命保険や有価証券も含めた数値となっています。

このようなデータは一部の金融資産を多く持っている世帯が平均を大きく押し上げる傾向にあるので、中央値がより実勢に近い数値になると言えます。

この調査結果を見る限りでは、金融資産を2000万円以上保有している世帯は全体の16%程度であり、2000万円に届かない方が大半だということが分かります。