私は、高齢者の入居が拒否される理由は4点あると考えています。

1. 収入が少ない
入居者が年金生活のみで収入が少なければ、大家としてはどうしても滞納のリスクを考えてしまうことでしょう。

2. 連帯保証人がいない
今後は連帯保証人も高齢者になる時代ですし、独身の高齢者であれば身寄りがいない可能性すらあります。しかし、最近は連帯保証人の代わりに家賃滞納保証(※)を利用するようになってきていますので、この制度を利用すれば良いような気もします。

ただし、そこにも罠があります。それが3点目の理由です。

※『家賃滞納保証』とは、入居者が決められた期日までに家賃の支払いを行わなかった場合、滞納保証会社が立て替えて家主に滞納分の家賃を支払ってくれるというもの。

3. 家賃滞納保証に入れない
高齢者という理由だけで、家賃滞納保証の審査に落ちてしまうケースが多いようです。家賃保証にも入れず、連帯保証人もいないからこそ、高齢者の入居は拒否されがちなのでしょう。

4. 孤独死のリスク
もし孤独死が発生してご遺体が腐乱した場合、異臭を除去したり、原状回復をしたりするにもかなりの費用が発生してしまいます。さらには、遺品整理も問題になってきます。

事故物件になってしまえば次の入居者も決まりづらくなりますし、家賃を下げなければならないケースもあるでしょう。
もちろん、死亡して数日で発見できれば事故物件にはなりませんが、こういった面倒ごとを避けたいという理由から、高齢者の入居は嫌がられているわけです。

高齢入居者は今後、爆増していく

次に、今後の日本では高齢入居者が爆増していく点についてお話ししたいと思います。

今後の日本は少子高齢化によって人口が激減し、アパートの空室も増えていくことが予想されます。「平成30年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)によると、日本の空き家の数はすでに846万戸以上となっていますし、そのうち4割が賃貸であると考えれば、実に300万戸以上のアパートが空室になっているのです。

そして、今後は4人に1人が生涯未婚という時代に突入し、それに伴って単身者が増えれば、一生賃貸派という考えを持つ方も増えてくると思います。

国立社会保障・人口問題研究所が発表した最新の人口将来推計によると、2040年には高齢世帯2242万世帯のうち約40%の896万世帯が1人暮らしとなることが推計されており、そのうち賃貸世帯が4割とすると、約358万世帯が高齢入居者ということになります。

このように、今後空室が増えていく一方で、高齢者の賃貸需要はますます増えていくのが現実なのです。

それでも私たちは高齢者の入居を拒否し続けるのでしょうか? 私の意見としては、高齢者の入居は積極的に受け入れるべきだと思いますし、実際に私は何年も前から高齢者の入居を受け入れています。

私が早くから高齢者の入居に注目していた理由は、実は世間には知られていないメリットがあるからなのです。そこで次は、誰も知らない高齢者入居のメリットについて解説していきます。