何らかの事情を抱え、生活費を高齢の親に頼らざるを得ない「独身・無職」の中高年の子の割合は増加しています。
例えば、ひきこもりの人のように、長い間職に就かずにいた人たちの場合、年金はどうなるのでしょうか?厚生労働省の資料よりひもといていきます。

まず、年金制度をおさらい

◆日本の公的年金は「2階建て」です。ざっくりわけるとこんな感じです。

1階部分「国民年金」

国内在住の20歳以上60歳未満の人が全員加入。

2階部分「厚生年金」

会社員や公務員

◆国民年金の『第○号被保険者』といった呼び方がありますよね。こちらも整理しておきましょう。

国民年金の『第2号被保険者』

国民年金の加入者のうち、民間の会社員や公務員など「厚生年金、共済の加入者」

国民年金の『第3号被保険者』

国民年金の加入者のうち、「厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)」

国民年金の『第1号被保険者』

第2号、第3号以外の人。国民年金のみに加入。

長期間無職である、という場合は、最後の『第1号被保険者』となります。

国民年金の加入者「無職」の割合はどのぐらい?

ここからは、厚生労働省の『平成29年国民年金被保険者実態調査』(2017年)より、国民年金第1号被保険者の保険料納付状況を確認してみましょう。

なお、こちらは、2017年3月末現在における国民年金第1号被保険者1575万4,000人のうち、「任意加入被保険者」「外国人」「法定免除者」および「転出による住所不明者を除く第1号被保険者」およびその属する世帯1367万1,000人について集計した結果です。

第1号被保険者の構成を就業状態別に見ていきます。

第1号被保険者の就業状態

  • 自営業主…16.5%
  • 家族従業員…7.2%
  • 常用雇用…8.9%
  • パート・アルバイト・臨時…31.4%
  • 無職…34.2%
  • 不詳…1.9%

さらに、各納付状況で、無職の人の割合はどれくらいなのかをみていきましょう。

納付状況別にみた「無職」の人の割合

  • 納付者・・・27.2%
  • 1号期間滞納者・・・31.3%
  • 申請全額免除者・・・43.1%
  • 納付猶予者・・・51.3%

上記からは、無職でも全額、または一部の年金保険料を納付している人がいることがわかります。「申請全額免除者」については、保険料を支払った人よりは金額は落ちますが、将来的に年金は支給されることになります。(

上記の「無職」の人の中に、ひきこもりの人がどれだけ含まれるかを知ることはできません。とはいえ、「今現在ひきこもり」の状態であっても、「将来は無年金」という人ばかりではないことは分かります。

(※)『国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度』日本年金機構

「無職」の人の保険料は誰が負担している?

さらに、「無職」の人はどのように保険料を支払っているかを、同資料からみていきます。

保険料の負担者(全年代の合計)

  • 自分の収入で支払い…27.3%
  • 父母が負担…10.5%
  • 配偶者が負担…7.5%
  • それ以外の者が負担…0.4%
  • この2年間保険料を納めたことがない、または全額免除あるいは猶予…35.3%
  • 不詳…19.0%

さらに、「父母が負担」している人の割合を年齢層別にみると以下のようになります。

年金保険料の負担者が「父母」の割合

20~24歳…21.1%
25~29歳…15.3%
30~34歳…13.2%
35~39歳…9.7%
40~44歳…9.2%
45~49歳…3.5%
50~54歳…2.7%
55~59歳…1.7%

こちらは、就業状況別ではなく、年齢別に集計されているため、「無職」の人がどれくらい含まれているかを正確に把握することはできません。ただ、自分の収入で年金保険料を支払うことができず、家族に支払ってもらっている人が一定数存在することは確かなようです。

さいごに

今現在、何らかの事情を抱えて無職であっても、一定期間年金保険料を納めていれば、無年金にはなりません。

ただし、いわゆる「8050問題」と呼ばれるような、高齢の親が中年の子どもの生活の面倒をみているというケースも一定数含まれるでしょう。そうした場合は、親の側の経済力・体力がどこまでもつか、といった懸念につながり、福祉・介護といった観点からの問題提起も視野にいれる必要があるかもしれません。

【参考】
平成29年国民年金被保険者実態調査』厚生労働省
厚生年金や国民年金をみんな、いくらもらっているのか」LIMO
国民年金の第1号被保険者の「職業」、もっとも多いのは?」LIMO
ひきこもりなど、長期間無職の人の年金ってどうなるの?」LIMO

※この記事は、2020年6月26日に公開された「ひきこもりなど、長期間無職の人の年金ってどうなるの?」(くらしとお金の経済メディア LIMO [リーモ])を最新のデータをもとに再編集したものです。

LIMO編集部