この記事の読みどころ

  •  8月の日本株式相場は、目立ったイベントも少なかったため小幅な値動きで終わりました。
  •  9月は再び金融政策イベントが多く、米国の利上げを睨んだ神経質な動きとなる可能性があります。
  •  引き続き、出遅れ感のある好業績銘柄をコツコツ拾いたいところです。

先月(8月)の株式相場の振り返り

8月は市場参加者が少なくなる“夏枯れ相場”の影響もあり、比較的静かな値動きとなりました。ただ、最後はFRB議長の発言による円安進行などで、株式市場は上昇基調に回帰しました。

小動きに止まった株式相場、最後はジャクソンホール会議で株高に

8月の株式相場は、月中の変動幅が比較的小さく、日経平均株価は16,000~16,900円のレンジ内で推移しましたが、16,500円を挟む攻防が多かったようです。

日経平均株価を振り返ると、7月末の株価(終値、16,569円)との比較では、8月末終値は+1.9%上昇となりました。また、8月高値は同+2.2%上昇、8月安値は同▲3.9%下落でした。なお、2015年末と比較した8月終値は▲11.3%下落となっており、7月末よりマイナス幅が若干縮小しています。

8月の株式相場が小動きに止まった要因は、参加者が少ないために起きる例年通りの“夏枯れ相場”に加え、終盤まで大きなイベント(特に金融政策に絡むイベント)が少なかったこと、Q1決算で大きなインパクトがなかったこと等が挙げられます。また、7月の株式相場を大きく押し上げたポケモノミクス相場が完全に一巡したことも理由の1つになります。

ただ、8月26日にジャクソンホール会議で行われたFRB議長の利上げ示唆発言による円安進行により、最後は株価上昇で終わっています。9月にこのトレンドが続くかどうか注目です。

2016年9月の注目イベント、注目セクター

金融政策イベントがなかった8月から一転、9月は金融政策イベントが要注目となります。それまでに様子見スタンスが強まる可能性もありますが、終盤には決算発表もあり、目が離せない1か月になりそうです。

日米の金融政策会合と東京ゲームショーが大きなイベント

9月は株式相場に影響を与えそうなイベントが、特に後半に目白押しです。既に8月の米国雇用統計発表は終了し、中国でG20首脳会合が開催されていますが、これが株価に与える影響は限定的でしょう。

それよりも、20~21日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)、及び、日銀金融政策決定会合が重要です。特に、米国の利上げ観測に対する見方が割れる中、FOMCは要注目です。また、日銀は20~21日の金融政策決定会合で、金融政策の総括的な検証を実施するとしていますので、こちらも注視しなければなりません。

また、9月はこうした金融政策絡みのイベントの他、東京ゲームショー(15~18日)、G7交通省会議(24~25日)などが予定されており、内容次第では株式市場へインパクトを与えることが予想されます。特に、7月のポケモノミクス相場の余韻がわずかに残る東京ゲームショーは注目していいでしょう。

さらに、9月下旬になると2月決算期の小売セクターの上期決算発表が始まります。主力株や注目株が多いセクターですから、その決算動向から目が離せません。上期実績も然ることながら、通期の会社予想がどのように修正されるのかが焦点です。内容次第では、10月下旬から始まる3月期決算企業の上期決算発表にも大きな影響を与えそうです。

引き続き、好業績銘柄の下値をコツコツ拾う戦略が有効に

9月2日に米国雇用統計(8月)が発表されましたが、事前の市場予測を下回る結果でした。発表後は株高・円安となっていますが、前述したFOMCと日銀金融政策決定会合の結果が出るまで、様子見スタンスが強まる可能性もあります。そのため、円安で輸出関連株、あるいは、円高で内需関連株というように、一方方向に決め打ちしないほうがいいでしょう。

方向感が見え難い中、やはり、出遅れ感の強い好業績銘柄をコツコツ拾っていくことが有効になると思われます。8月以降の動きを見ると、内需関連銘柄のパフォーマンスがやや冴えませんので、決算発表前に動き難い小売セクター以外の内需関連銘柄を注目したいところです。

 

LIMO編集部