こうしたプロセスを経て株を購入し、上がった下がったで一喜一憂しつつも、それでも粘り強く保有しながら儲けを出すのが株です。そして副次的に、様々な投資戦略や株以外の投資対象、金利動向、政治経済動向などについて必ず興味を持つようになってきます。

今は11月3日の米国大統領選が最も関心の高いところだと思いますが、実戦派と座学派では、こうした情報に対する感度が大きく異なるのです。株は他人事を自分事に置き換える作用もある、というわけです。

自己投資を「生き金」に

金融知識を身につける必要があるのはなぜでしょうか。実はそんなものなくても、本当は問題なく生きていけるのです。ですが、それは儲かるか否かといった短絡的なことではなく、世の中を渡るための知恵なのです。甘い儲け話には乗らない、金融詐欺には引っかからない等、自己防衛するための手段です。

残念ながら、株ですぐには儲けられませんし、儲けた人の反対側には必ず損をした人がいます。手金でそうしたことを理解するのも学びの一部です。

長々申し上げましたが、実戦でしか真の金融リテラシーは身に付かない。このことを忘れないでほしいと思います。

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)