明るい業界展望や土地ブームは確かにあったのですが、こと住金は人気がなく、日経平均株価がバンバン上がる中、うんともすんとも反応しませんでした。結局、内容は良くても人気がなければ上がらないと悟ったわけですが、将来のことは誰も分かりません。突然人気化することだってあるわけです。買ってみないとわからないことはたくさんあります。

負け惜しみではありませんが、人気化する株の特徴をもっと深く洞察し、業績予想を磨いていけば少なくとも大負けすることはない、というのが筆者の株からの学びです。

残念ながら、住金株はほぼチャラで売ってしまいました。その後2012年10月に、住金は新日鉄と合併したのです。結局、住金を最後まで持ち切ればよかった、というオチでした(泣)。

株を通して世の中を見る目を養う

さて、今の時代、金融知識はスクールの座学や動画で学んだりするのが主流のようです。しかしながら、これだけは断言できます。実戦以外の経験や知識で、金融リテラシーを向上させることはできません。

なぜなら、座学は忘れますし、試験に合格したとしても次の瞬間からその内容は忘れ始めます。一方、身銭を切って損得を経験する株は、それと引き換えにかけがえのない学びが身につくものです。

株は上場企業3728社(東証、2020年10月21日現在)から、儲かる株を掘り当てるゲームです。ただし、数十万円を出して、サイコロ転がしのごとく銘柄を選ぶわけにはいきませんから、当然対象銘柄を絞り込んで投資するわけです。ここは真剣勝負にならざるを得ません。

他業種のことは全くわからなくても、自分の勤務先と同業種のことなら伸びている企業や売れている製品情報などはすぐに分かるでしょう。財務情報を知りたければ、その会社のウェブサイトでIR情報を見ればすぐ分かります。そのうち、開示内容次第で買いか売りかのポイントも分かるようになります。