「昔のような学歴至上主義ではなくなった」という話を耳にしても、やはり親なら子どもにはある程度の学歴を持ってほしいと願ってしまうもの。今年は特に新型コロナウイルス拡大による臨時休校が3カ月にも及び、学びの遅れへの懸念が広まるなど、子どもの教育およびそこにかける費用に対する考え方も揺れています。

ちょうど臨時休校措置で学校も親も対応に追われていた2月28日から3月2日の4日間、ソニー生命が大学生以下の子どもがいる男女1000人を対象に「子どもの教育資金に関する調査2020」をインターネット上で実施。その結果が3月下旬に発表されています。

学力と学歴はお金次第という考え

同調査では、「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まる」という問いに対し、「非常にあてはまる」および「あてはまる」と答えた親は65.7%となっています。

では、この肌感覚は妥当なのでしょうか。2017年度に日本財団が大阪府箕面市の就学児童2万5000人のビックデータを活用して調査した「家庭の経済格差と子どもの認知・非認知能力格差の関係分析」によると、貧困層と非貧困層の学力偏差値は10歳を境目に差が拡大していくことが分かっています。

ソニー生命の調査結果でも、「子どもの学力と学歴には投資が必要」と考えている層がかなりいることは明らかです。実際、経済的余裕のある家庭では惜しみなく教育費を出せるでしょう。しかし、必ずしも全ての子に効果が出るとは限らないのです。

筆者は塾講師として裕福な家庭の子を何人か教える機会がありましたが、全員が同じように成績優秀というわけではありませんでした。ここ数年、学力格差と経済格差の関係が取り沙汰されていますが、各家庭の経済状況よりも親子関係の方が成績への影響が大きいと感じたものです。