米雇用統計を受け、1ドル=104円台の円安ドル高へ

2016年9月2日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より1円16銭安の16,925円68銭となりました。日本時間の2日夜に米8月雇用統計が発表されることから、積極的な取引が控えられ、小幅な値動きとなりました。商いも薄く、東証1部の売買代金は1兆8673億円と、活況の目安とされる2兆円に届きませんでした。

その米雇用統計を受け、2日のニューヨーク外為市場では、ドルが短時間で乱高下しました。
8月は非農業部門の雇用者数が前月比15万1,000人増となり、市場予想の18万人増に届きませんでした。この結果を受けて米連邦準備理事会(FRB)が9月の利上げに踏み切る見方が後退し、発表直後はドルが売られる動きが加速。一時、1ドル=102円70銭台まで円高ドル安となりました。

ただ、その後は、雇用者数こそ予想を下回ったものの、夏季休暇シーズンの季節的要因によるもので、実際の労働市場は堅調であり、FRBはやはり年内に利上げを行う可能性が高いという受け止め方からドルが買い戻される動きが広がり、一時、1ドル=104円30銭台まで円安ドル高となりました。その後もドルは小じっかりとした展開となり、104円00銭台で引けています。

今後の展開はどうなるでしょうか。先週末のイエレンFRB議長の講演やフィッシャーFRB副議長のコメントをきっかけに、利上げ観測が高まっています。2日の雇用統計もそれを後押ししそうです。それが9月になるのか、11月、12月になるのか注目されるところですが、仮に9月に利上げがなかったとしても、年内の追加利上げの可能性は高く、失望売りにはならないでしょう。

ひとまず来週は、9月4、5日に中国・杭州市で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議の結果に注目したいところです。

ちなみに、週初の5日は、米国はレイバー・デーで祝日です。商いが薄くなり、急な値動きが生じることもあるので注意したいところです。

円安傾向を背景に、日経平均は力強い動き

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。先週末のイエレン議長の講演を受けた円安の動きもあって、週初から窓を開けた陽線で始まりました。75日移動平均線でサポートされ反発された形です。一気に25日移動平均線、5日移動平均線も超えました。

2日の高値(16,946円)は一時、直近の上値めどだった、7月21日の高値(16,938円)、8月の12日の高値(16,943円)も上回りました。力強さを感じます。

17,000円台を回復し、さらに一段上に向かう動きか

来週の動きはどうなるでしょうか。チャートの動きは引き続き堅調と言えます。一時的とはいえ、7月の高値、8月の高値も突破しています。

現在は、7月8日の安値(15,106円)と8月4日の安値(15,921円)を結ぶトレンドラインにサポートされた形になっています。チャネルの上限までの視界は広く、伸びしろが大きいという印象です。

逆に、7月、8月の高値である16,940円付近で上値を抑えられるようだと、方向転換やもみ見合いになることも懸念されますが、今週末に大きく円安方向に振れたことから、週初からいきなり窓を開けて下落したり、長い陰線で始まったりする可能性は少ないと考えられます。むしろ、16,940円付近を踏み台に、一段上に向かう動きになるのではないでしょうか。

当面の上値めどとしては、目先の節目となる17,000円、5月31日の高値(17,251円)、4月25日の高値(17,613円)などになります。17,000円~17,700円の間は、年初から8カ月以上、かなりもみ合ってきました。ここを抜けると、するすると上がる可能性もあります。

下原 一晃