小学校入学当初は絵本を読んでいる子でも、徐々に周りの子が読んでいる本に興味を持ち始めます。そして、自分の好きなジャンルやシリーズを見つけ、自ら本に手を伸ばすようになってきます。朝読のために本を購入する際は、親子で話し合って「確実に読める本」を子ども目線で選ぶことも必要でしょう。

朝読と相性抜群の5分シリーズ

朝読が定着してきているため、出版社もニーズに応じた本を出しています。高学年になると「5分後に意外な結末シリーズ」「5分シリーズ」など朝の読書タイムに特化した作品が人気を集めています。

高学年になると徐々にページ数の多い本を読むようになってきますが、朝の読書タイムは時間が限られています。朝読やすきま時間の読書に特化したこれらのシリーズは少子化や出版不況の中でも最新刊が続々出版されるなど、各出版社が力を入れています。

中でも2017年4月に出版された「5分シリーズ」(河出書房新社)は累計50万部を到達するなど勢いに乗っています。また、初版が2013年と先駆者である「5分後に意外な結末シリーズ」(学研)はシリーズ累計300万部を突破。もし、学校の朝の読書タイムがなければここまでの数字を叩き出すことは難しかったのではないでしょうか。

内容の面白さはもちろん大切ですが、短時間で読み切れることを打ち出したことが大きかったといえます。タイトルに「5分」とあると、読者である子どもたちも「これならすぐ読める」と一目で分かります。それが大ヒットにつながったのかもしれません。

朝の読書タイムだけしか読まない子もいるが…

全国学校図書協議会では全国の小中高を対象にした児童生徒の読書状況を毎年調査しています。第65回目となった昨年6月に行われた調査では、小学生(4~6年生)が2019年5月に読んだ平均読書冊数は11.3冊になりました。30年前の1989年では平均6.3冊だったことを考えると、小学生の活字離れが進むどころか本を読む機会は増えているようです。