男女雇用機会均等法が制定されてから35年経ちますが、まだまだ仕事における男女格差の解消には至っていないのが実情です。女性が仕事を続ける上で、妊娠、出産、育児の問題は大きく、正規雇用者として働き続けることを困難にしたり、昇進の道が閉ざされる要因になることもあります。

こうしたことが、生涯に受け取る賃金の総額にどの程度影響するのでしょうか。男女の生涯賃金をデータで比較してみたいと思います。

男女の生涯賃金を比較すると…

独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)の『ユースフル労働統計』(2019)の調査による男女の生涯賃金の比較を見てみましょう。

学校を卒業して、すぐにフルタイムの正社員として働き始めて、60歳で定年を迎えるまでに得た賃金の総額(退職金は含まない)を、男女別、学歴別でグラフに表しました(グラフ参照)。

フルタイム正社員の男女別生涯賃金

出典:JILPT『ユースフル労働統計2019』を元に筆者作表 ※同一企業継続就業とは限りません。

性の場合、すべての学歴で生涯賃金は2億円を超えていますが、女性の場合、2億円を超えるのは大学・大学院卒だけです。男性と女性とでは、高専・短大卒でおよそ4,000万円、他は5,000万円以上の開きがあります。

このデータは男性も女性も60歳までフルタイムの正社員として働いた場合の差なので、たとえば女性が途中でパートに切り替えて労働時間が大きく減ったわけではないことを考えると、職種の賃金差や昇給などの要素が影響していると推測されます。

次に非正社員の生涯賃金を見てみましょう(グラフ参照)。