当然ながら、パーソナルスペースの範囲は家族や友人・恋人など親しい関係の人であれば狭くなり、見知らぬ人や苦手な人であれば広くなる傾向にあります。そして、そのパーソナルスペースの範囲を無視して近づくと、相手は警戒して容易に心を開かなくなってしまうとされます。

たとえば、エレベータや電車で混み合っていると居心地が悪いのは、他人にパーソナルスペースを侵略されていると感じるからというわけです。

家族との距離に拒否感を感じるとき

本来、家族は「密接な距離」に当たるため、無意識に一歩踏み込んだ距離感で接していることが多いでしょう。しかし、気持ちのコントロールが難しい思春期には、タイミングによってその距離感に違和感やイラつきを覚えてしまうことも少なくありません。

具体的に、筆者の周りでよく耳にする「密接な距離で対応されて嫌な気持ちになった」タイミングは、下記のようなものです。

  • 学校で友達とケンカをしたり、進路について悩んだりして落ち込んでいるのに、妙にハイテンションで話しかけられたとき
  • 外食時、親と離れた席に座りたいのに、無理やり隣の席に座わってきたとき
  • 外出時、周りに人がたくさんいるのに、親が耳打ちしたり腕を組んできたり、距離が近すぎると感じるとき

このように、気分の浮き沈みがパーソナルスペースの範囲に影響することが多く、特に他人の目がある場所では、親に接近されるのを拒むケースが少なくありません。