筆者は現役看護師です。一時期現場を離れていた時期がありましたが、今は復帰しています。

さいしょは「やはり看護師免許を持っていると、再就職には困らないなぁ」と肯定的にとらえていました。

しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大が続き、看護師不足が連日報道されるなか「再就職しやすいことって、本当に看護師にとって良いことなのか?」と疑問を持つようになりました。

看護師不足は今に始まったことではない

長期化するコロナ禍、「看護師不足」が話題となっています。しかし、医療従事者からすれば「今さら何を」という程度でしょう。

SNSなどで、「看護師不足 元から」といったキーワードで検索すると、多くの医療従事者が同様の意見を持っていることがお分かりいただけるかと思います。

2020年12月、大阪府のとある病院で「医師と看護師が半年ほどで30人以上退職した」と報じられました。その内訳は4月から11月末までに医師10人、看護師12人、看護助手9人が退職した、とのこと。(

筆者はこの数字にさほど驚きは感じませんでした。

日本看護協会が公表している「2019年 病院看護実態調査」によると、正規雇用看護師の離職率は2018年度で10.7%です。

十三市民病院の看護師職員数は常勤換算で136人(※2)。平時であっても、13人程度の離職者が出ることは不自然ではないとも考えられるのです。

コロナ対応の負担の大きさが退職に直結する部分は確かに大きいでしょう。

とはいえ、原因は「それだけではない」と筆者は考えます。

日本医療労働組合連合会が公表した「看護職員の労働実態調査」においても、74.9%もの看護師が「仕事を辞めたい」考えている、との結果が出ているのです。

よって、今回のコロナ禍で、看護師の日ごろからの不満が爆発し、問題が表面化しただけである、と筆者は考えます。

離職率が高い理由としては、やはり日頃からの「労働環境の悪さ」がまず挙げられるでしょう。

看護師のみならず、医師もしかり。

「働き方改革」がうたわれてはいるものの、地域医療や若年の技能向上が必要な者などは年間1860時間の時間外労働が許されている状況です。

政府はこの水準を、2035年に960時間まで削減する方向としています。しかし、遠い将来に、それが実現されるかは疑問です。

そもそも、他一般職種の時間外労働の上限は720時間。これと比較すると、医療従事者が働く環境の「ブラック度」は一目瞭然かと思います。