”なんちゃってご当地カレー”では生き残れない?
スープカレーとブラックカレーに共通しているのは、地域おこしや観光目的で“開発”されたものではなく、以前から町の文化として根付いていたということです。その意味では、「ココイチ」も最初は地元(愛知県清須市)で人気があったご当地カレーと言えるかもしれません。
カレーが国民食と言われるのは、ただ単に多くの消費者が食するだけでなく、各地域にそれぞれ特色のあるカレーが根付いてきた歴史も一因だと言えましょう。そう考えると、地域差を超えて全国展開している「ココイチ」のすごさを感じずにはいられないのは筆者だけではないと思われます。
カレーに限らず、最近は観光客誘致のために、ご当地名産やご当地グルメを造り上げようとする動きが少なくありません。しかし、そのような急造品や急造グルメは長続きせず、とりわけ、現在のように訪日外国人が激減すると、すぐに化けの皮が剥がれます。コロナ禍で飲食業が苦境にある今こそ、改めて見直してみる必要があるでしょう。
葛西 裕一