老後の就労収入と資産運用

日本では労働人口の減少のため、高齢者や主婦層の労働力化を政策的に後押ししています。その一方で、従来の終身雇用制度については、経団連も存続が非常に困難だとの見解を示しています。つまり人手不足でありながら早期退職を求められる…という時代が来ているのです。

欧米では、運用利回りを4%に仮定し、資産運用によって生活費をまかなう「FIREムーブメント」という思想もあります。「FIRE」は『Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期退職)』を指し、積極的な倹約と貯蓄で経済的自由と早期退職を実現することを指しています。

ここで、各人の「働いてお金を稼ぐ力」「資産運用」が重要となりそうです。資産運用だけでは利益も不確実ですし、働き続ける際も病気のリスクや年齢的な限界もあります。そのため資産運用と稼ぐ力の両方を育てることが、不安要素を最小限にしていく現実的な方法だといえるでしょう。

資産運用については、NISA(少額投資非課税制度)・iDeCo(個人型確定拠出年金)などの税制優遇制度もありますので、利回りと税制上のメリットを併せて年利4%を目指す方法もありそうです。

まとめにかえて

人により退職金や公的年金の額は異なり、望まなくても早期退職となる可能性もあります。貯蓄や資産運用に取り組み、継続的な収入を得る準備が必要となるでしょう。家計の見直しや資産運用については、不安であればファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのも方法の1つです。

大切な老後の生活に備えて、お金に関する情報はしっかり収集し、正しい情報をもとに着実に準備を進めていきたいですね。

参考

「退職金を受け取ったとき(退職所得)」国税庁
「高齢者と税(年金と税)」国税庁
「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」厚生労働省
『金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」』
「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯)」総務省統計局
「将来の公的年金の財政見通し(財政検証)2019(令和元)年財政検証の資料」厚生労働省
「令和元年度 生活保障に関する調査(速報版)」公益財団法人 生命保険文化センター

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

【ご参考】年間収入とは

総務省統計局の「家計調査」における「年間収入」とは、世帯全体の過去1年間の収入(税込み収入)です。以下1~6の収入の合計金額となっています。
1. 勤め先収入(定期収入、賞与等)
2. 営業年間利益(原材料費、人件費、営業上の諸経費等を除く。)
3. 内職年間収入(材料費等を除く。)
4. 公的年金・恩給、農林漁業収入(農機具等の材料費、営業上の諸経費等を除く。)
5. その他の年間収入(預貯金利子、仕送り金、家賃収入等)
6. 現物消費の見積り額

LIMO編集部