ニトリも今年2月に刷新した公式アプリに画像検索や在庫情報の機能を搭載し、店内の商品配置状況を顧客が確認できるサービスを導入。店舗で扱いが少ない大型家具はネット限定で販売し、顧客ニーズに合わせて必要な情報を配信するワン・トゥ・ワン・サービスも強化しています。
家具のイケアも6月に初の都心型店舗を原宿にオープンし、展示のみの商品にはネット通販への誘導機能を盛り込みました。これら商品には専用タグを付け、スマホアプリでQRコードを読み込むと商品の詳細・購入ページに飛ぶ仕組みになっています。
自社サイトが好調な良品計画は、EC機能や会員証機能などを持つ専用アプリ「MUJI パスポート」や、新商品とお得情報を毎週配信する「週刊MUJI」を通じて店舗やサイトへの誘導を実施。さらに今年5月にはアマゾン、6月には楽天市場へと初出店し、販路拡大と顧客の利便性向上に力を入れています。
そのほかアパレルなどを扱うネット通販企業では、ライブコマースやチャット接客で顧客開拓やサービス拡充を目指すケースも増えています。LINEで事前予約すれば、販売スタッフが実店舗の売り場とネットをつないでマンツーマン接客を行ってくれるオンラインサービスも登場しました。
まとめ
新型コロナウィルスの影響もあり、小売り企業が通販やネット通販を強化する動きは日々加速しています。厳しい競争を勝ち抜くためには、商品力だけでなくプラスアルファの施策で勝負していくことが求められ、次々に新たなサービスが生まれているのです。
アマゾンに追い着くことは難しいものの、このような知恵を絞った取り組みや進化が企業を躍進させ、今後の業界規模拡大にもつながっていくと思われます。10兆円という大台市場も、そろそろ射程距離に入ってきたといえるでしょう。
【参考資料】
「通販市場、8.8兆円市場へ」(日本通信販売協会調査)
「通販・通教・EC 2019年度 売上高ランキング〈トップ500〉」(日本流通産業新聞)
通販研究所・渡辺 友絵