日本企業と外資系企業には大きなことから小さなことまで数々の違いがありますが、そのうちの一つに、自分以外にかかってきた電話を取らないということがあります。全部が全部とは言いませんが、少なくとも私が経験した外資系企業ではそうでした。2000年代初頭の話です。

筆者は新卒で日本企業に勤めましたから、外線電話は部署の新入りが率先して取るというのが常識でした。

他人宛の電話は取らない外資系企業

30代で外資系企業に転職したとき、入社当初は電話が鳴るたびに新卒社員並にビクビクしていたものです。たまにガイジンから英語の電話がかかってきますし…。

しかし、電話があっちで鳴ろうとこっちで鳴ろうと、本人宛の直通電話以外は完全無視。電話が鳴り止むまで放ったらかしでした。最初はヒヤヒヤでしたが、すぐに慣れました。むしろ他者への電話を取らないことが、こんなに精神衛生上楽なのかと後日思い知った次第です。

電話に出ないなど非常識な!と思われるかもしれませんが、社員のほとんどは常識ある、日本企業からの転職組です。一度、同僚に「この会社って、みなさん電話取りませんよね?」と尋ねたところ、「他人の電話を取って内容がわからずトラブっても問題だし、そもそもペイしないでしょ」という答えが返ってきたことを思い出します。