たしかに「誰それは席を外しております」と電話を取って答えても、不在であればそもそも本人は電話に出られないわけですし、急ぎならスマホ(当時は携帯)かメールかで連絡する方が効率的です。

そして今やスマホが主流ですから、業務内容によっては固定電話の役割はどんどん低下していると思います。

新人教育が難しい時代

電話が個人化するのは悪いことではありません。それが本来の使い方だからです。さらに電話もせず、SNSでコミュニケーションするのが当たり前の現代では、一見、話さずとも済む便利な社会が実現したのかもしれません。

一方で、困ったこともあります。それは若手社員(特に社会人1年目の新人)のトレーニングができないということです。いくらSNSが使えても、顧客・取引先・関係者と口頭での良好なコミュニケーションができないと、本人のみならず会社のイメージに響きます。

筆者が新人時代の数カ月間は、会社の代表電話に出るのが嫌で嫌でたまりませんでした。なぜなら、お客さんは電話に出た担当者(=筆者)が何でも分かっていると勘違いしていますし、好き勝手なことを聞いてくるからです。

また、間違った回答をしてしまうこともあり、その度に冷や汗をかきながら折り返し電話で謝り、訂正したことも一度や二度ではありませんでした。もちろん、電話から逃げていると先輩に怒られ評価も下がるので、なるべく積極的に取るフリはしていました。