もっとも、ファンド・オブ・ファンズのように、成功報酬付きの投資対象ファンドを組み入れた場合、このファンドが成功報酬を反映した時価を算出できるのであれば、その投資信託の基準価額は間接的に成功報酬を反映した基準価額にすることができます。

ただし、その投資対象ファンドがどのように成功報酬控除後の基準価額を計算しているのか開示されていません。ここはかなりグレーなところです。

運用期間中の解約を不可にしないと、成功報酬は計算できない

仮に日本の公募投信に明解な成功報酬を導入するのであれば、スポット型かシリーズ型で新規設定後追加設定がなく、かつ運用期間中は信託期限まで解約できないようにする必要があります。加えて、あらかじめそのような方法で成功報酬を徴求することを受益者に理解してもらう必要があります。

このように日本の公募投資信託において成功報酬を導入するのはかなり困難が伴います。受益者の公平性が保たれないこともありますし、そもそも毎期決算ごとにハイウォーターマークを超えられる投資信託はほとんどないということもあります。

もちろん、成功報酬によって受益者が不公平に取り扱われるということを公平に理解しているのであれば、何も文句は言いません。残念ながら、そこまで理解しているプロも少ないのが実情です。

太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)