この事例だと、ある成功報酬付きの投資信託を1万円の基準価額で購入して、1万2,000円の解約価額で解約できたなら、当初の約束通り2割の成功報酬を支払ってもしょうがないと思います。

ところが、運用成果に応じた報酬を徴求するのはリーズナブルに思えるのですが、日本の公募投資信託の場合、多くの問題をはらんでいます。

まず、成功報酬を引き落とす報酬額やタイミングが目論見書等の資料では開示されていません。

たとえば、当初1万円の基準価額だった投資信託が、値上がりして1万4,000円になったとします。基準価額が1万4,000円の時に買って、1万2,000円に下がった場合、損失が2,000円発生していますから、本来成功報酬は払わなくて済むはずです(当初1万円→購入時1万4,000円→1万2,000円に値下り)。

にもかかわらず、その計算期間の決算日時点で基準価額が1万2,000円であれば、2,000円の利益(1万2,000円 – 1万円)に対し400円の成功報酬(2,000円 × 20%)が発生して、成功報酬控除後の基準価額は1万1,600円(1万2,000円 – 400円)になります。

つまり、1万4,000円の基準価額で買った人は余分な成功報酬を払うことになり、基準価額が1万1,600円になってしまうのです。

基準価額から成功報酬を引き落とすタイミングも、決算期ごとなのか毎日なのか投資信託によってまちまちで、プロでさえわからないことがあります。