本来、この成功報酬400円分を受益者に平等に負担させることができればいいのですが、ほぼ不可能です。なぜなら、将来の結果である成功報酬を毎日の基準価額に反映させることが理論的に不可能だからです。

海外ヘッジファンドでは“equalization”(イコライゼーション)という計算方法を用いて、購入者の購入時点における成功報酬控除後基準価額を平準化する方法がありますが、これとて過去の成功報酬(率)の反映にしか過ぎません。

過去に大きな成功報酬を得たファンドは、口数によって成功報酬を平準化します。したがって、過去の基準価額から大幅に下がったファンドの基準価額に対する成功報酬負担率は過大になります。

成功報酬が発生する仕組み

注:筆者作成

現在の基準価額と過去のハイウォーターマークを比べて、毎日成果報酬を計算して基準価額から引き落とすこともできないことはないですが、やはりハイウォーターマーク以上で購入した受益者の基準価額から過去の成功報酬が引き落とされるため、公平なプライシングとは言えないでしょう。