株式市場の振り返り-円高進行の一服感を好感して反発、新興市場は6日ぶりの反落

2016年8月17日(水)の東京株式市場は反発となりました。日経平均株価は前日比+0.9%の上昇、TOPIXも+1.0%の上昇で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は▲1.8%下落して6日ぶりの反落となりました。

日経平均株価は、ほぼ前日終値水準で寄り付いた後、徐々に上値を切り上げて16,700円前後で推移しました。さらに円高進行の一服感が出た後場の半ば以降、もう一段の切り上げを見せて一時+175円高となる場面がありました。大引けに掛けてはやや売りに押された結果、+149円高の16,745円で終わっています。

東証1部で上昇したのは927銘柄、値下がり919銘柄、変わらず127銘柄でした。東証1部の出来高は17億5,128万株、売買代金は2兆728億円(概算)となっています。出来高、売買代金とも前日より小幅増加となりました。

セクター動向と主要銘柄の動き-33業種中24業種が上昇、金融関連と輸出関連に買戻し

東証1部で上昇したのは24業種、下落したのは9業種でした。上昇率の上位には、金融関連セクターが並んでいますが、原油価格の上昇を受けて鉱業なども上位に名を連ねました。また、円高進行の一服感などから輸送用機器などの輸出関連業種も上昇しています。他方、下落業種にはディフェンシブ業種が多く見られました。

個別銘柄では、コマツ(6301)が年初来高値を更新する大幅上昇となり、日立建機(6305)も大きく値を上げました。また、日東電工(6988)、TDK(6762)、村田製作所(6981)などの電子部品・材料株も軒並み上昇しています。その他では、任天堂(7974)も久々の大幅上昇となり、富士重工(7270)やマツダ(7261)などの自動車株も堅調に値を上げて終わりました。一方、塩野義製薬(4507)が大幅下落となり、ソフトバンクグループ(9984)も年初来高値を更新後に値を下げました。電機株ではソニー(6758)の下げが目立っています。

東証マザーズ市場の動き-総合指数はズルズルと6日ぶりの反落、医療バイオ関連が軒並み安

東証マザーズ総合指数は、寄り付き直後はプラスとなりましたが、その後はほぼ一貫して値を下げ続け、終わってみれば▲2%安に迫る下落となり、6日ぶりの反落となりました。出来高は前日比でほぼ横ばいの6,485万株でしたが、売買代金は前日から▲25%程度減少する751億円に止まっており、資金流入はまだ起きていないと言えます。なお、騰落状況は、値上がりが55銘柄、値下がりは151銘柄、変わらず15銘柄でした。

個別銘柄では、そーせいグループ(4565)、アキュセラ(4589)、グリーンペプタイド(4594)、サンバイオ(4592)、ヘリオス(4593)などの医療バイオ関連銘柄は軒並み大幅下落となり、前日と逆の様相となりました。また、前日に米国投資情報会社の売り推奨レポートで急落したCYBERDYNE(7779)も続落となりましたが、大きな下落には至らなかったようです。さらに、前日ストップ高となったMRT(6034)は大幅反落となり、アカツキ(3932)も大きく値を下げました。一方、ミクシィ(2121)は堅調に推移したのが目立っています。

本日(8月18日)の注目点-お盆休みが終わってジャクソンホール会議に焦点が移る

17日でお盆休みは終わりました。18日(木)から従来の相場環境へ戻ります。当面は、26日のジャクソンホール会議(FRB議長の講演)を睨みながら、為替相場を含めた揺さ振りが仕掛けられる可能性があり、場中の激しい値動きに注意が必要です。一方で、先に終わったQ1決算発表の内容が今一度吟味されて、出遅れ感のある好業績銘柄が注目される展開となるでしょう。“売られ過ぎ”の外需関連銘柄、及び、“買われ過ぎ”の内需関連銘柄のスイッチも一考の価値がありそうです。

前述したジャクソンホール会議は、8月25~27日に掛けて米国のワイオミング州ジャクソンホールで毎年開催される経済政策シンポジウムの通称です。ここで毎回実施されるFRB議長の講演では、思わぬ発言が出ることで知られており、過去に何度も株式市場へ大きな影響を与えてきました。このジャクソンホール会議は8月後半の最大イベントになります。

前日に5連騰を達成した新興市場ですが、17日は反落となり、資金流入の動きも一旦停止した感があります。18日以降も潮目が変わるのかどうか注目したいと思います。

青山 諭志