必要な人ほど手が届かない治療
そもそもアメリカでは、精神衛生管理にも格差があります。例えば米人気TVドラマ『Suits』などで見るように、高級弁護士や会社役員などエリート層は有名な精神科医の元でカウンセリングを受け、仕事や人間関係のストレスをコントロールしているということはよくあることです。
しかし、精神科医やカウンセラーは場所や医師の経験や専門によっても異なりますが、30分程度のセッションでも平均200~400ドルほどと高額です。精神的な治療が必要な人ほど「保険に加入していない」「入っていてもカバーしてくれない」など経済的な問題があり、手が届かず放置して悪化するというケースが多いです。
ところが、ここ数年でオンラインカウンセリングが普及しました。保険がなくても手頃な費用で専門家の治療を受けられ、場合によっては薬の処方もしてくれます。ミレニアルズを中心に利用者が増えているようです。また、コロナ禍により対面を避けるという点でも需要が高まり、より充実したサービスが次々と市場に参入しています。
精神的な疾患と世間体
一方、医療システムに恵まれている日本において心療内科やカウンセリングに通う事は、経済面での負担はアメリカに比べて少ないかもしれません。しかし、社会的な偏見を持たれてしまうという恐れが欧米より強く、そういった点で精神衛生の管理や治療を拒む人が多いようです。特に男性は「弱さ」「甘さ」とみられるのを嫌う傾向があるともいいます。
その点オンラインカウンセリングならば、誰にも気付かれずに会社を休むこともなく、自宅で都合の良い時間に受けられるため、じわじわと人気を集めているようです。もちろん欧米でも、精神的な疾患に対するネガティブなイメージはあります。それでも日本よりは遥かに周囲の理解が進んでいます。
特に最近は、ミレニアル世代の著名人や有名運動選手が次々と自分の精神的な問題を公言しています。自分の精神的な問題を公言することを恥ずべきことではない、という考えが広まっているといえます。