年収1,000万円なのに「うちは貧乏」な3つの理由
年収1,000万円で貧乏という発言には驚いてしまいますが、そのボヤキも頷ける3つの理由に迫りたいと思います。
1. 所得税で損
前述の2020年1月から実施の所得税にまつわる税制改正を例にすると、フリーランスや自営業者も含め全ての人に適用される基礎控除額が、10万円引き上げられ最高48万円になりました。
控除額が増える=減税になるので、これはうれしいニュースですね。ただ一方で、年収1,000万円の人の場合、2019年までは上限220万円だった給与所得控除が、2020年には上限195万円に引き下げられました。下げられた控除額は25万円。トータルで差し引き15万円の控除が減ったことになるため、結果的に増税ということになります。
給与収入が850万円以下の場合、課税所得金額はプラスマイナスゼロで改正後も税負担は変わらないことを考えると、もともと累進課税制により高い所得税を払っているうえに、今回の税制改正においても増税となり、年収1,000万円の人は損をしているように思えてしまいますね。
2. 児童手当の所得制限
中学校卒業までの児童を養育している家庭に、国から支給される児童手当。支給額は下記のとおりです。内閣府「児童手当制度のご案内」
児童1人あたり月額
・3歳未満:一律15,000円
・3歳以上小学校修了前:10,000円(第3子以降は15,000円)
・中学生:一律10,000円
ただし、支給にあたっては所得制限があり、例えば専業主婦と児童2人がいる世帯主の年収が1,000万円の場合はこれにひっかかってしまうので、月額一律5,000円に減額されてしまいます。子どもの誕生から中学校卒業までの約15年間と支給期間が長いうえ、何かと費用がかかる子育て時期に、この減額は家計への影響大ですね。
3. 高校無償化対象外
2020年4月から「私立高校授業料の実質無料化」がスタートしましたが、この制度を利用するにも所得制限があります。例えば母親が専業主婦で、父親の年収が1,000万円以上という家庭では、私立高校授業料どころか、公立高校に通う場合の支給額118,800円(年額)すら対象外になってしまいます。子どもが高校生になると、部活動や塾など学費以外にかかる費用も増えてくるので、無償化の恩恵を受けられないのは厳しいといわざるを得ません。