この記事の読みどころ

  •  8月前半の日本株式相場は、雇用統計発表後から堅調に推移しています。
  •  金融政策イベントの予定がない8月後半ですが、ジャクソンホール会議におけるFRB議長のポロリ発言に注視する必要があります。
  •  政策期待相場が一段落した現在、出遅れ感のある好業績銘柄をコツコツ拾いたいところです。

8月前半の株式相場の振り返り

ポケモノミクス相場の一段落後に始まった8月前半の株式相場は、雇用統計後に上昇基調に戻り、堅調に推移しています。また、決算発表でも大きなサプライズはなかった模様です。

雇用統計発表後に上昇基調へ回帰した8月前半の株式相場

8月前半の株式相場は、荒い値動きのスタートになりました。これは、7月末に実施された日銀金融政策決定会合の結果(ETF購入6兆円など)に対する評価が定まっていなかったためです。

結局は、“期待はずれ”という評価が主流になり、8月2日~3日の2日間で▲3%超の下落となりました。しかし、5日に発表された米国雇用統計が予想以上に好調だったことを受けて、翌週明けからの株価は上昇基調に回帰しています。8月12日には17,000円台回復まであと一歩に迫る場面がありました。

また、8月前半、特に第1週目には、主力企業のQ1(4-6月期)決算の発表が相次ぎました。ただ、この時期に円高が再び加速して100円/ドル超を伺う水準まで達したため、企業業績に対する悪材料出尽くし感が思ったほど大きくなかったと言えます。

一方で、輸出関連企業を中心に、“思ったほど悪くない”という決算内容も多く、業績相場への足固めができたとも考えられます。

ちなみに、8月15日終値(16,869円)は、7月末の終値(16,569円)との比較で+1.8%上昇となっています。また、8月前半のザラバ高値(16,943円)は同+2.3%上昇となっています。

日経平均株価の過去6か月間の推移

2016年8月後半の注目イベント、相場の着眼点

金融政策イベントがない8月の株式相場は、業績相場への動きを強める展開が予想されます。しかし、唯一注意しなければならないイベントが控えています。業績相場への流れが続く中でも、十分注意が必要です。

8月後半に期待されるのは?

8月は元々、日米の金融政策イベントの予定がありません。また、8月5日に米国雇用統計の発表も終了しており、後半には特段重要な経済指標の発表もなく、さらに、国内外を見渡しても、金融市場に大きな影響を与えそうな政治イベントも見当たりません。

こういう大きな金融・政治イベントがない時こそ、企業業績が評価されてボトムアップの株価形成が期待されます。

ジャクソンホール会議でのFRB議長の講演が最大関心事

ところが、8月下旬には毎年恒例の金融イベントが行われます。それは、米国のワイオミング州ジャクソン ホールで開催される年次経済シンポジウム、通称“ジャクソンホール会議”です。このジャクソンホール会議は、各国の中央銀行総裁、政治家、エコノミスト等が一堂に会して行う研修会のようなもので、会議そのものはさほど重要ではありません。

ただ、過去を振り返ると、この会議におけるFRB議長のポロリ発言が、株式市場に大きな影響を与えたケースが何度も起きています。リラックスし過ぎするのか、サービス精神が強まるのか、理由は定かではありませんが、毎年大きな注目を集めることは確かです。

今年は8月25日~27日にかけて開催されますが、26日にはイエレンFRB議長の講演が行われます。思い返すと、2016年に入って以降、イエレン議長のポロリ発言によって、株価が大きく変動したことが何回もありました。

今回は、今後の追加利上げ時期などを示唆するかもしれない、このジャクソンホール会議におけるFRB議長のポロリ発言に注視する必要があると言えましょう。

好業績銘柄の下値をコツコツ拾う戦略が有効に

ジャクソンホール会議のインパクトに注意する必要はあるものの、政策頼みの株式相場が終わり、企業決算の内容を評価する業績相場へのシフトは続くと考えられます。

現在は、業種ごとに投資対象を絞るよりも、好業績の出遅れ銘柄をコツコツと拾う戦略が有効と言えましょう。また、日銀が打ち出した追加緩和策(ETF購入6兆円)も、徐々に効果を表す可能性があります。8月後半は、予想以上に株式相場が強含みになる場面は十分想定可能と判断します。

 

LIMO編集部