二酸化炭素は、水に溶けると炭酸(炭酸清涼飲料水のもと)になり、やがて炭酸塩となって固体になります。火山の爆発により、二酸化炭素が大気中に排出され、また水に吸収される。このようなサイクルは地球化学的規模の循環です。鍾乳洞や鍾乳石がどうしてできるのか、そのメカニズムはこの地球化学的炭素循環と密接に関係しています。
(2)生物学的循環
植物は大気中の二酸化炭素を吸収し、水と太陽光を駆使して澱粉などのバイオマスを作っています。その際に、酸素が生成します。動物はその酸素を吸って、二酸化炭素を吐いています。植物と動物間では、二酸化炭素と酸素はバランスよく循環しています。
植物や動物の残存物は分解し、この時にも二酸化炭素は発生します。この生物学的循環は数万年単位の変動です。植物や動物の残存物が長い年月(数億年)をかけて石炭や石油になっていることはよく知られています。
問題は人為的、非循環的な二酸化炭素の発生
人類はエネルギー獲得のため、石炭や石油を使ってきました。その石炭や石油は有機化合物からできているため、これを燃焼させれば当然ながら二酸化炭素と水が発生します。
人類は、地球化学的や生物学的二酸化炭素循環に比べれば微々たる短期間、過去約200年の間に、一方的に二酸化炭素を排出してきました。その排出された二酸化炭素をリサイクルする術(人工光合成など、研究は行われています)が不幸にも未だ確立されていないので、二酸化炭素は大気中に溜まるだけです。
この人為的かつ非循環的な二酸化炭素の発生が自然の摂理に反していることは言うまでもありません。これをどう防ぐかが大きな問題です。
二酸化炭素削減に向けて
温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析によれば、二酸化炭素の濃度は毎年増え続け、2018年の世界の平均二酸化炭素濃度は、前年と比べて2.3ppm増えて407.8ppm(注1)となっています。工業化(1750年)以前の平均的な値は278ppmとされているので、47%増加したことになります。
注1:ppmは100万分率のことで、大気中の分子100万個中にある対象物質、この場合には二酸化炭素分子の個数を表す単位です。