財政赤字は「父ちゃんの赤字」であって「家計の赤字」ではない理由

財政赤字を家計の赤字に例えるのはミスリーディングであり、父ちゃんの赤字に例えるなら可能だ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

財務省のホームページで財政赤字を家計の赤字に例えている

財務省のホームページには「日本の財政を家計に例えると収入が○万円、支出が○万円で不足分を借金で賄っていて、借金が巨額です」といった説明がなされています。

何兆円という数字を見せられてもイメージがわかない人が多いでしょうから、身近な数字に置き換えることによってイメージを持ってもらおうということなのでしょう。その努力は評価しますが、これはミスリーディングです。

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家計が赤字なら、勤務先と賃上げの交渉をすれば良いのです。勤務先の決算は悪化するかもしれませんが、赤の他人ですから知ったことではありません。あるいは飲み屋に行く回数を減らせば良いのです。飲み屋は赤の他人ですから、彼らの収入が減っても知ったことではありません。

しかし、財政赤字を減らすためには増税するか歳出を減らすかする必要があります。増税相手は勤務先とは異なり、赤の他人ではない国民ですし、歳出削減先も飲み屋とは異なり赤の他人ではない国民です。

つまり、財政赤字を減らすためには国民に犠牲を強いなければならないのです。そこが家計の赤字とは決定的に異なるところです。それを家計の赤字に例えるのは極めてミスリーディングだと言えるでしょう。

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塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。
現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。
(近著)
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(雑誌寄稿等)
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