しっかり考えたい「卒業後の返済」
日本学生支援機構の奨学金の返済は、卒業して7か月目から始まります。前年の所得に連動して毎年の返還額が決まる『所得連動返還方式』(無利子型(第一種奨学金)のみ)と、毎月一定額を返済していく『定額返還方式』の2種類の返済方法があり、どちらかを選択することになります。
たとえば、国立大学に自宅外から通学する場合に1カ月あたり5万1,000円の支援を受けると、4年間の貸与総額は244万8,000円です。これを、定額返還方式で、毎月1万3,600円ずつ返済すると完済までに15年かかる計算となります。
奨学金を申し込むとき、債務者である当人は高校生。その時点で、自分で稼いだお金で、自分の生活をすべて賄うという経験をしている人はほとんどいないでしょう。毎月お給料をもらうことができれば、月1万円ちょっとの支払いなんて、なんてことのない金額のように感じる人もいるかもしれませんね。しかし、実際に働きだすと、卒業後の月収が18万円で、税金や社会保険料を差し引いた手取り額が14~15万円だという人にとって、多くの場合、1万3,600円の奨学金返済は、重い負担となってのしかかります。
前述のMさんの娘さんも、奨学金を利用すると決めたときは、自身が働きだせば、すぐに返すことができる金額だと甘く考えていたのかもしれませんね。