その生産実績ですが、数量ベースでは近年、緩やかな増加傾向にあります。2018年度(2018年4月~2019年3月)実績は57億2千万食で、4年連続で過去最高となりました。4年連続で過去最高更新とは、やや意外な感じがするかもしれません。確かに、伸び率は微小に止まっていますが、即席ラーメンはまだ伸びています。

これは、即席ラーメンに占める割合が約69%(平成29年実績)のカップラーメンにおいて、新商品が次々に登場してくることが最大要因と見られます。ちなみに、袋めん(約30%)は漸減傾向にあり、生めん(約2%)も頭打ち傾向にあります。やはり、お湯を注ぐだけで食べられるカップラーメンの利便性が受け入れられているのでしょう。

2019年度は生産金額ベースで過去最高を記録

それでは、最新実績である2019年度(2019年4月~2020年3月)はどうだったのでしょうか?

結論から先に言うと、最後(3月)に予想外の急伸となり、微減に止まった数量ベースでは5年連続の記録更新はならなかったものの、金額ベースでは過去最高を大きく上回る約6065億円になりました。理由は単純明快で、一連の新型コロナウイルスの感染拡大懸念が大きな“追い風”になったためです。

実は、2019年度は最初から生産量の減少が見込まれていました。これは、前年(2018年度)の一時的な貢献(前述の朝ドラ「まんぷく」や60周年記念イベント等)が消失するためです。実際、2月実績までは数量は前年をやや下回る状況、金額は横ばいという状況でした。