2020年8月18日に行なわれた、株式会社テノ.ホールディングス2020年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社テノ.ホールディングス 代表取締役社長 池内比呂子 氏

「テノ.」の由来

池内比呂子氏:本日はよろしくお願いいたします。新型コロナウイルスの影響があり、そして大変暑い中、ご参加いただきまして感謝申し上げます。本日はリモートで、またマスクを着用しておりますので、お聞きづらい点があるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

まずは、私どもの社名の「テノ.」の由来ですが、「もっと愛情を・・・もっと安心を・・・『手の』ぬくもりまでも伝えたい」という意味となっています。

経営理念

経営理念についてです。「私たちは、女性のライフステージを応援します。」「私たちは、相手の立場に立って考えます。」「私たちは、コンプライアンスを推進します。」「私たちは、事業を通して社会貢献致します。」といった内容となっています。

会社概要・グループ概要

本日は、みなさまに通期連結業績予想の上方修正についてご説明し、次に2020年12月期第2四半期の決算概要、そして業績見通し、また最後に中長期ビジョンについてお話しします。

上方修正のお話の前に、私どもの会社概要を簡単にご説明します。社名は「テノ.ホールディングス」で、本社は福岡にあり、東京本部、大阪支社、沖縄支店というかたちで事業展開している会社です。設立は1999年7月で、現在の従業員数は正社員が1,643名、臨時雇用者が1,117名です。事業内容は公的保育事業と受託保育事業、その他となります。

テノ.ホールディングスは純粋持株会社で、連結子会社としてテノ.コーポレーションとテノ.サポートという会社があります。テノ.コーポレーションは公的保育事業、テノ.サポートは受託保育事業や人材派遣、ハウスサービス、ベビーシッターサービス、テノスクール(tenoschool)など、多様な子育て支援事業を展開しています。

通期連結業績予想の上方修正について

今回の上方修正についてご説明します。まず、通期予想の上方修正についてですが、表の左側が当初の予想で、中央の赤い帯のところが修正後、その右に増減率を記載しています。

売上高は107億6,700万円から108億2,500万円に変更しており、増減率がプラス0.5パーセントです。営業利益は4億7,100万円から6億100万円に変更しており、増減率がプラス27.4パーセントです。経常利益は4億4,600万円から5億8,100万円への変更で、増減率がプラス30.1パーセントです。そして当期純利益は2億8,700万円から3億6,200万円への変更で、増減率がプラス25.8パーセントです。

2020年12月期第2四半期の累計期間までの業績が想定以上に推移したということで、上方修正しています。

詳細についてですが、想定以上の補助金収入がありました。公定価格の単価改定による増収や保育の充実ということで、保育の充実については保育士の配置の充実、保育士の保育経験年数等によって受領できる補助金を獲得できました。また、政府の緊急事態宣言に伴う登園自粛要請により変動費が減少しました。さらに、当初業績予想に見積もっていた新規開設関連費用を想定よりも抑制することができました。その他、当初業績予想に含めていなかった介護事業の増収貢献分を考慮しています。

今後、新型コロナウイルス感染症が業績に与える影響について、受託事業の稼働率の推移による影響を保守的に検討した結果、上方修正をすることといたしました。

上方修正のご説明は以上となります。

連結業績

今回の第2四半期の決算概要についてご説明します。連結業績ですが、赤い帯のところが今回の業績です。売上高は53億4,400万円で、前年からの増減額がプラス3億3,300万円、増減率がプラス6.7パーセントです。

営業利益は3億4,900万円で、増減額がプラス1億500万円、増減率がプラス43.6パーセントです。経常利益は3億4,100億円で、増減額がプラス1億800万円、増減率がプラス46.2パーセントです。そして純利益は2億1,200万円で、増減額がプラス6,200万円、増減率がプラス42.1パーセントです。

売上高

売上高についてですが、第2四半期累計における過去最高を更新いたしました。

営業利益

営業利益についてです。セグメント利益から全体の費用を引いて、こちらも過去最高を更新しています。

セグメント別【公的保育事業】

詳細についてご説明します。公的保育事業は、売上高が32億2,600万円で、対前年の増減がプラス5.9パーセントです。またセグメント利益が4億3,400万円で、プラス35.9パーセントです。

ポイントについてですが、予定どおり4月に新規で認可保育所を2施設開設しています。また、主に2018年から2019年の保育所の既存施設の充足率が拡大し、その結果、増収となりました。さらに、緊急事態宣言によって実質的には休園する保育施設もありましたが、通常どおり補助金収入を受領できました。

利益面ですが、先ほどの上方修正のご説明でもお伝えしたとおり、公定価格の単価改定や保育の充実によって受領できる補助金を想定以上に確保できたことが増益につながりました。さらに、政府の緊急事態宣言に伴う登園自粛要請によって変動費が減少したことも増益に貢献しました。業績は堅調に推移しており、増収増益基調を確保しています。

公的保育事業のトピックとしては、2020年10月に残りの2施設を開設します。 以上が、公的保育事業についての説明となります。

セグメント別【受託保育事業】

受託保育事業についてです。売上高が18億6,500万円で、対前年の増減率はプラス6.9パーセントです。またセグメント利益が8,500万円で、プラス16.1パーセントです。

受託保育事業は、199施設から226施設に増加しています。内訳ですが、受託保育施設が3施設、学童保育所が18施設、わいわい広場が6施設となり、増収に貢献しました。

とくに、今回の新型コロナウイルスの環境下において緊急事態宣言が発令された際、小学校が休校になったことに伴い、学童保育所の開所時間を一時的に拡大対応しました。その結果、自治体から受領する指定管理料の増額に貢献し、利益面にも大きく貢献しました。この増益に伴って利益率も改善しており、さらに収益改善のため、受託保育所では委託単価の見直しや新規案件獲得に継続して注力しているところです。

なお、新型コロナウイルスの影響により、既存保育施設の稼働状況に関しては注意が必要と考えています。

セグメント別【その他】

その他についてですが、売上高が2億5,200万円、対前年の増減率はプラス15.5パーセントです。またセグメント利益が1,600万円で、プラス15.8パーセントです。

この中身についてですが、2020年3月から新規事業として介護施設をスタートしており、そこは堅調に推移して増収に貢献しています。引き続き、当社グループ内においても当該事業のノウハウの構築に注力中です。

そして、既存施設である直営の認可外保育施設や小規模保育施設の充足率が拡大したことも増収に貢献しました。 増収増益で推移しましたが、成長に向けて各部門で注力中です。

トピックとして、テノスクール(tenoschool)においてオンラインでの保育士講座を無償で開講しました。こちらは後ほどご説明します。

営業利益増減要因(対前年同期比)

営業利益増減要因についてです。左側が、2019年12月期第2四半期の営業利益になりますが、公的保育事業の売上増加がプラス1億7,900万円で、受託保育事業の売上増加がプラス1億2,000万円となり、その他の売上増加がプラス3,300万円でした。

それに対して、売上原価は、労務費が103.2パーセントとなりますが、今回は残業費が少なかったことや経費を抑えることができたため、全体でプラス1億1,400万円に抑えられています。そして販管費の増加があり、その結果、今回は3億4,900万円の利益となり、対前年で143.6パーセントとなりました。

2Q(4-6月) コロナ禍における対応について

今回の第2四半期では、コロナ禍における対応を行なってきました。その詳細についてご説明します。

まず、当社グループで運営する施設では、新型コロナウイルス対応のために休園を行なった施設において職員の処遇面に影響がないよう対応し、給与補償を含め、雇用維持を全面的にサポートしました。

私どもは社会インフラであることから、コロナ禍においても売上収益に影響なく事業を進めてきました。一方で、現場である保育園は「三密」を避けられない場所であり、その中で、本当に求められている事業であることから、保護者のみなさまと支え合いながら事業を進めてきました。

次に、直営保育施設に関しては、衛生備品は当然のことながら、空気清浄、除菌効果のある機器を設置して現場の環境整備をさらに徹底してきました。

そして、在宅でのリモートによる勤務の中で、教育研修、ミーティング、面接、面談を積極的に実施して、ペーパーレス化にも注力しました。また、生産性向上のための業務改善にも取り組んできました。

このコロナ禍における対応の4つ目が、「保育士資格取得支援講座」の無償開講の決定です。感染拡大の影響で、解雇による離職や雇い止めなどで職を失った方々に対して資格取得から就職まで一貫してサポートしたいと考え、そのような仕組みを整備しました。私どもの企業の成長は、社会貢献と収益の両輪で進めるものだと思っています。

「保育士資格取得支援講座(リモート開講)」について

私どもがこの件を無償で提供するということで、6月に西日本新聞や日経新聞にも掲載いただきましたが、600名ほどの応募があり、7月からスタートして、現在は常時200名程度の方に資格取得支援講座に参加いただいています。

先ほど「社会貢献と収益の両輪で」とお伝えしたとおり、社会に貢献しながら、私どもの会社で先生たちに働いていただき、人の還流、そして人材確保まで進めていきたいという取り組みとなっています。

四半期毎の業績推移について(データシート)

こちらは、四半期ごとの業績推移についてのデータシートです。

四半期毎の業績推移について(グラフ化)

今回の第2四半期では、売上、収益ともに過去最高を更新しています。

連結貸借対照表概要

こちらが連結貸借対照表の概要です。

連結キャッシュ・フロー計算書概要

こちらは連結キャッシュ・フロー計算書概要になります。以上が第2四半期のご報告となります。

まず・・・COVID-19に対する当社の対応について

今期の業績見通しについてお話しします。新型コロナウイルスに対する当社の対応については、先ほど保育施設のお話もさせていただきましたが、本社はペーパーレスでリモートワークによる在宅勤務を進めてきました。

2020年12月期 業績見通しについて

その中で業績予想を上方修正していますが、これまでの増収増益を確保していこうと思っています。一方で、新型コロナウイルスの影響を僅少と想定しながらも、継続して注視していきたいと思っています。

また、新規開設についてご説明します。まず「開設済み」ですが、これは4月に開設している部分で、公的保育所が2施設、受託保育所が25施設、その他が2施設です。今後の開設については、公的保育所が2施設で10月1日に開設予定です。

そして、新規事業、将来投資についてですが、先ほどもご説明したとおり、新規事業として介護施設の運営を開始しています。堅調に推移中ですので、ノウハウを構築しながら次に進めていきたいと思っています。

もう1点、オンラインによるサービス提供を開始しており、テノスクール(tenoschool)において保育士講座の無償化を進めているわけですが、将来的にはビジネスにつなげていきたいと思っています。

2020年12月期 公的保育事業の新規開設拡大

私どもの事業の柱の1つである公的保育事業についてです。グラフのとおり、今年の認可は4施設で、補助金の政策を積極的に採用している主要都市へ展開しています。とくに東京23区では板橋区、中央区、新宿区、そして待機児童が多いところで補助金が手厚いエリアをターゲットにしています。

私どもは同業の中でも収益性が大変高いと思いますが、その理由は、私どもの保育所の7割弱が東京23区であるというところで、そこが他社と比較して収益が高い理由だと思っています。今後もその点に注力しながら、エリア、沿線を絞り込んで「面」展開して人材確保と効率化を追求していきたいと思っています。

2020年12月期 受託保育事業の新規受託拡大

もう1つの柱が受託保育事業です。今までどおり新規受託の拡大は進めているわけですが、新型コロナウイルスの影響がありながらも継続的に進んでいるところもあれば、企業が検討中のところも増えています。その中で力を入れているのが学童保育所と病院の院内保育所です。そこを拡大することで、受託保育事業の拡大を進めていきたいと思っています。

2020年12月期 収益性改善と質の向上(継続注力)

2020年12月期の収益性改善と質の向上についてですが、2019年12月期から取り組んでおり、継続的に注力していきたいと思っています。スライドに記載のとおり大きく3つを掲げており、2019年12月期の営業利益率が4.8パーセントでしたが、収益率をどんどん上げていくための仕組みを考えています。

1つ目が、採用コストの削減です。2018年に上場を果たした後は、新卒採用の拡大、そして派遣事業と紹介事業の強化を継続しており、AIを活用した保育士紹介や、採用サイトからの人材確保経路の確立を進めています。また、当社を辞めていく人材もカバーすべく、データベースの構築を推進しています。

また、先ほどお話ししたとおり、今年から新たにリモートで無償の保育士講座を進めていますので、そこからも採用を行ないます。その意味では、雇用の間口を拡大して採用コストの削減を進めていきたいと思っています。

2つ目が、高収益事業の強化です。働く女性のライフステージ全体を支援していこうということで、ベビーシッターサービス、ハウスサービスはブラッシュアップしています。そして、ライフステージ関連事業の高収益性を維持しつつ、規模を拡大しています。

3つ目が、人材の育成と生産性の向上です。ここが一番重要なところで、人材投資の拡大を進めています。テノスクールのノウハウを生かした研修等による人材育成や人事評価制度のほか、今回の新型コロナウイルスの影響で積極的にeラーニングを使うようになり、先生たちの働き方改革、そしてIT化を進めて基盤強化を進めていきたいと思っています。

事業環境① 待機児童の現状と待機児童解消に向けた取組

ここからは中期ビジョンについてご説明しますが、その前に、まずは事業環境についてご説明したいと思います。今回のコロナ禍によって、ウィズコロナ、アフターコロナで景況感がどうなるのかわからない状況ではあるものの、待機児童は依然として解決せず、まだまだ多い状況です。

事業環境② 人手不足と女性の社会進出

こちらのスライドは人手不足と女性の社会進出に関する表となります。現在は共働きが77.7パーセントで、世の中の景況感に影響されるとは思いますが、一方で、今回のようなコロナ禍においては、1家族の所得が減少する中では共働きが当然の社会になるのではないかと思っていますので、まだまだ女性の社会進出が進み、結果として保育所が不足する状況が続くのではないかと考えています。

事業環境③ 女性の社会進出による保育所ニーズの高まり

事業環境の3つ目ですが、こちらは2040年までの保育ニーズについての総務省が公表している資料となります。左側のグラフが、出生率と就業率が現状のまま進んだ場合で、右側のグラフが、さらに女性の社会進出が進み就業率が上がった場合の推計となります。

左側のグラフで説明すると、出生率の低下とともに保育施設に通う児童の数は減少する推計となっています。濃い赤色の部分が0歳児から2歳児で、中央のピンクが保育所の3歳児から5歳児、そしてグレーが幼稚園等の3歳児から5歳児です。このグラフで見るとわかるように、保育施設に通う児童の総数は減っていきますが、減るのは幼稚園が主であり、女性が社会進出すると保育所のニーズがあるということです。2040年に向けても保育所へのニーズが今後も高まっていくことがわかると思います。

事業環境④ 幼児教育・保育の無償化に関して

事業環境の4つ目です。幼児教育・保育の無償化について、スライドをお示しております。濃い赤色の部分が保育園児で、ピンクの部分が未就園児、そしてグレーの部分が保育園児以外、つまり幼稚園児等になります。

無償化の対象は3歳、4歳、5歳であり、ピンクの部分は幼稚園も保育園も行っていない方で、約10万人程度いる状況です。一方で、0歳児、1歳児、2歳児は無償ではないのですが、保育園、幼稚園に行っていないお子さまがこれだけいるということで、今後も拡大が期待されるのではないかと思っています。

このような事業環境の中での私どもの中期経営計画として、重点施策は公的保育事業、受託保育事業における事業拡大を進めていくことです。次に、サービス品質を追求して私どもが選ばれる施設作りをすることです。そして、人事制度と人材育成制度の一体改革に着手して、さらに新規事業を立ち上げていくことを進めていきたいと考えています。

中期経営計画(重点施策について)※策定当初

重点施策についてです。1つ目は、公的保育事業、受託保育事業の事業拡大ですが、公的保育事業は毎年4施設以上、受託保育事業は毎年10施設以上の開設を目指し、それに加えてM&Aや業務提携によって「+α」に注力したいと思っています。

2つ目は、選ばれる施設、人事関連改革です。現場では継続してICTの環境整備に注力していきたいと思います。また、利用者とのコミュニケーションツールとして活用できるプラットフォーム化も推進していきます。さらに、職員向けのeラーニングの導入と人事評価体験の再構築により、テノ.グループのサービス品質を継続して追求していくとともに、テノ.グループで働く価値向上に向けて福利厚生を充実していきたいと思っています。

3つ目は、新規事業、将来投資についてです。今回は介護事業をスタートしていますので、施設の安定運営を確約しながら、新規出店フェーズへの移行を適宜検討していきたいと思っています。さらに、ベビーシッターサービスのブランディングにも注力しており、またその他ベンチャー企業との接点作りを強化して事業化したいと思っています。

中期経営計画(2020~2022)※策定当初

中期経営計画ですが、こちらは策定当初のもので、今回は上方修正は未反映のままのスライドにてお示ししています。

沿革

私どもの会社の沿革です。1999年7月にスタートして20期連続の増収を続けています。創業から変わらず考えているのですが、育児をしても、家事をしても、介護をしても、女性が働き続ける社会を作ることをコンセプトにしてきました。その中で必要なものを1つずつ事業として展開して、女性たちを応援するスタンスを取り続けてきたわけです。

「 teno VISION 2030 」

20年が経ちましたが、「teno VISION 2030」の中で、2030年にどういう会社であるべきかをみんなで話し合いました。

基本的に、私どもの創業時の思いはそのままに、時代に求められるサービスを提供するプロフェッショナル集団でありたいと考えています。私どもが注力しているのは保育事業であり、これは世の中で私どもが一番必要とされている事業で、今まで注力してきました。

もちろんそこに注力するとともに、そこから横展開して、家庭総合サービスグループを目指したいと考えています。働き手にとって、自己実現が最も可能となる家庭総合サービスグループを目指します。このビジョンを実現するには、選ばれる企業集団でなければならないと思っていますので、働き手視点、そして顧客・クライアント視点をしっかり持ちながら事業展開していきたいと考えています。

中期経営計画(2020~2022)と長期ビジョン

最後に、中期経営計画と長期ビジョンについてです。スライドは2030年までの計画です。中期経営計画では2020年から2022年までの計画を出していますが、事業展開する中で、中期的には既存事業の拡大に加えてM&Aによる事業拡大や新規事業を創出していきます。

既存事業の売上高は300億円、そこに事業拡大と新規事業による200億円を加えて、10年後には売上高500億円の会社にしたいと思っています。私の説明は以上となります。

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