2020年8月13日に行なわれた、三菱商事株式会社2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:三菱商事株式会社 常務執行役員 CFO 増一行 氏\n三菱商事株式会社 執行役員 主計部長 野内雄三 氏

2020年度第1四半期決算及び2020年度業績見通し

増一行氏:CFOの増です。本日はお忙しい中、弊社の決算公表にご参加いただき、誠にありがとうございます。まず、最初に私から全体をご説明し、その後、主計部長の野内より詳細についてご説明します。

ご説明するポイントは次の3点です。まず、第1四半期の連結純利益が前年同期に比べ1,245億円減益の367億円となったこと、2つ目、2020年度の連結純利益の見通しは新型コロナウイルスの影響を織り込み、2,000億円とすること、3つ目、5月に公表した配当見通し「年間134円」に変更はないことです。

それでは、2020年度第1四半期決算及び2020年度業績見通しの1ページ目をご覧ください。まず、2020年度第1四半期の決算の概要についてご説明しますので、スライド左下のボックスをご覧ください。今回の決算は、自動車事業の大幅な落ち込み等を中心に、新型コロナウイルスの影響を強く受け、厳しい結果となりました。

三菱自動車工業における損失の取り込みに加え、自動車関連事業やLNG関連事業において利益が減少しました。また、資源価格の低迷を背景に豪州原料炭事業における持分利益の減少や銅事業における受取配当金減少などもあり、2020年度第1四半期の連結純利益は、前年に比べ1,245億円の減益となりました。

次に、2020年度の業績見通しについてご説明します。スライド右下のボックスをご覧ください。5月の決算公表時点は緊急事態宣言の最中であり、新型コロナウイルスの影響範囲や終息時期について最も不透明なタイミングであったことから、合理的な見通しを提示することは不可能と判断し、見通しの公表を見送りました。

新型コロナウイルスの終息時期については依然として不透明な状況が続いていますが、第1四半期決算の実績も踏まえ、各事業における影響を見極めた結果、資源価格の低迷も含めた新型コロナウイルスによる減益インパクトを3,000億円積み込んだ上で、今期の業績見通しを2,000億円と公表することにしました。なお、配当見通しについては、5月8日に公表済みの134円を織り込み、変更はありません。

総括しますと、未曾有の危機と言われたコロナショックの影響を受け、大変厳しい結果となりました。昨今の世界域の感染者数を見ると、事業環境は平時と言うには程遠く、楽観視できる状況ではありません。危機感を持って社員一丸となり、この難局を乗り越えていく所存です。以上が全般的な説明となります。続いて、主計部長の野内よりセグメント別の状況を中心に詳細をご説明します。

セグメント別の状況

野内雄三氏:主計部長の野内です。それでは、私から何点か補足します。セグメント別の第1四半期実績からご説明しますので、2ページをご覧ください。主要増減にポイントを絞ってご説明します。

まず、天然ガスは前年同期の285億円から、213億円減益の72億円となりました。これは、LNG関連事業における持分利益や受取配当金の減少などによるものです。総合素材は、前年同期の114億円から120億円減益となり、6億円の赤字となりました。炭素事業における事業利益や鉄鋼製品事業における持分利益の減少などによるものです。金属資源は、前年同期の590億円から390億円減益の200億円となりました。これは豪州原料炭事業の市況下落による影響などによるものです。

続いてスライドの右半分に移ります。三菱自動車工業における減損損失取り込みに加え、三菱自動車工業やアジア自動車事業における持分利益の減少などにより、自動車・モビリティは前年同期の174億円から401億円減益となり、227億円の赤字となります。

キャッシュ・フローの状況

続いて、3ページをご覧ください。キャッシュ・フローの状況についてご説明します。右側の棒グラフの2020年度第1四半期のキャッシュ・フローをご覧ください。グレーの営業収益キャッシュ・フロー は1,149億円の収入、オレンジ色の投資キャッシュ・フローは1,239億円の支出となりました。この結果、これらを合計した調整後フリー・キャッシュ・フロー は90億円の支出となりました。

投資キャッシュ・フローの主な内訳については、スライドの右側の表の中段、オレンジ色の部分をご覧ください。支出は、位置情報サービス事業を展開するHERE Technologies宛ての投資実行に加え、欧州総合エネルギー事業における電力小売事業の顧客基盤の取得や、豪州原料炭事業及び銅事業での更新投資や融資などにより、2,275億円となりました。一方で、収入は上場有価証券の売却などにより1,036億円となり、投資キャッシュ・フローはネットで1,239億円の支出となりました。

新型コロナウイルスによる影響

続いて、4ページをご覧ください。冒頭にご説明のとおり、通期業績見通しは2,000億円とすることとしましたが、まずこの前提についてご説明します。事業領域や所在国の環境によって異なるものの、上期中は新型コロナウイルスの影響は継続し、下期以降、年度後半に向けて経済環境が緩やかに回復に向かう前提とし、約3,000億円の影響を織り込むこととしました。

続いて、その下にセグメント別の主な影響をまとめてみました。とくに影響額に占める割合が大きいセグメントに絞ってご説明します。自動車・モビリティは、世界的な自動車需要の大幅な落ち込みによる販売台数減などにより、大きな影響を受ける見込みです。また、その下の金属資源と天然ガスは、鋼材需要や石油需要の減少などにより、原料炭や石油価格の下落といった市況低迷の影響を大きく受けることとなります。その他のセグメントにおいても全世界的な需要の減少などによるマイナスの影響を受ける一方で、ライフラインを扱う事業を中心に需要が底堅く推移している事業もあります。

セグメント別の2020年度業績見通し

続いて、5ページをご覧ください。2019年度実績と比較したセグメント別の業績見通しについて、巡航利益の増減が大きいセグメントを中心に補足します。まず、天然ガスは前年度の703億円から523億円減益となる180億円を見込んでいます。これは、LNG関連事業における持分利益や受取配当金の減少などによるものです。

総合素材は、前年度の261億円から231億円減益となる30億円を見込んでいます。炭素事業における事業利益や鉄鋼製品事業における持分利益の減少などによるものです。

次に金属資源ですが、前年度の2,123億円から1,493億円減益となる630億円を見込んでいます。これは前年度に計上したチリ銅事業再編に伴う一過性利益の反動767億円や、豪州原料炭事業における市況下落による影響などによるものです。

続いて、資料の右半分に移ります。自動車・モビリティは、前年度の196億円から696億円減益となる500億円の赤字を見込んでいます。これは三菱自動車工業やアジア自動車事業における持分利益の減少などによるものです。

その2つ下のコンシューマー産業は、前年度の227億円から157億円減益となる70億円を見込んでいます。CVS事業やアパレル関連事業における持分利益の減少が主な要因です。また、複合都市開発は、前年度の343億円から93億円減益となる250億円を見込んでいます。空港関連事業やリース事業における持分利益の減少などによるものです。

6ページには、市況の前提状況をまとめた参考情報を記載していますので後ほどご参照ください。私からの説明は以上です。

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