十分な収入があるのにもかかわらず、「思うように貯金ができない」「生活に余裕がない」と感じている人もいるのではないでしょうか。総務省の「家計調査報告」によると、「年収が1000万円を超えていても、貯蓄は100万円未満」などという世帯が一定数あるようです。
収入が増えると生活レベルを上げていく人は少なくありません。ただし収入に見合わないほどリッチな生活をしていれば、お金が貯まらないのはむしろ当然です。今回は、年収層ごとの支出の傾向などのデータを交えながら、「高収入でも生活が苦しい」ケースの背景をみていきます。
年収が上がると増える支出って・・・?
年収が上がると、どんな支出が増えやすいのでしょうか。総務省統計局の「家計調査 家計収支編2019年」をもとに、年間収入五分位階級別の1世帯当たり品目別支出金額をご紹介します。
五分位階級とは、年間収入の低い世帯から高い世帯へと順に並べて5等分した階級を指します。もっとも年収の低いⅠ階級は年収357万円まで、もっとも高いⅤ階級は年収863万円以上です。
ここでは、下記の5つの品目を取り上げています。
- 食料
- 被服および履物
- 教育
- 教養娯楽
どの階級でも、支出がもっとも多いのは食費です。食料にかけるお金は年収が上がるにつれて増え、V階級ではI階級の約2倍のお金をかけている状況です。被服や履物、教養娯楽の出費は3倍ほどになっています。階級格差がもっとも顕著な項目は教育費です。年収が上がれば、子どもにそれなりの教育を受けさせたいと考える親は多くなっていくでしょう。V階級は、I階級の19倍以上のお金を教育費にかけているようです。