株式市場の振り返り-朝方から高くはじまり引けにかけて一段高で終わった
2016年8月8日(月)の東京株式市場は大幅な反発となりました。日経平均株価は前日比+2.4%の上昇、TOPIXも+2.0%の上昇で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は▲3.1%の続落となりました。
上昇の背景は前週末の米国の7月の雇用統計が雇用改善を示し米株高と円安が進んだことが一番でしょう。
日経平均株価は、前日比+208円高の16,462.29円で寄り付いた後、前場は16,600円までゆるやかに上昇し一進一退で推移しました。後場に入り若干水準を切り上げて16,600円をはさむ展開になりましたが、14時以降に改めて上昇しはじめ、高値に近い16,650.57円で引けています。
東証1部で上昇したのは1,392銘柄、値下がり502銘柄、変わらず76銘柄でした。東証1部の出来高は21億1,748万株、売買代金は2兆2,593億円(概算)となっています。商いはまずまずの状況だったと言えます。
セクター動向と主要銘柄の動き-33業種中32業種が上昇、金融セクターが牽引
東証1部で上昇したのは32業種、下落したのは1業種でした。上昇率の上位には、保険業、銀行業、不動産業などの金融セクターが目立ちました。しかし機会や輸送用機器もしっかり上がりました。他方、下落した業種は医薬品だけです。食料品、サービス業、情報・通信業、電気・ガス業などのディフェンシブ業種はわずかな上昇にとどまりました。
個別銘柄では、ファーストリティリング(9983)、ファナック(6954)、ソフトバンク(9984)がそろって上昇し日経平均を牽引しました。パイオニア(6773)、DOWAホールディングス(5714)、NTN(6472)などが上昇し、住友不動産(8830)、T&Dホールディングス(8795)、静岡銀行(8355)など金融セクターの株が軒並み堅調でした。
下げた銘柄では、コムシスホールディングス(1721)、大成建設(1801)、大林組(1802)などの建設株が目立ちます。なお抗がん剤の開発が思ったような成果にならなかったと発表した小野薬品工業(4528)が▲20%下げています。
東証マザーズ市場の動き-総合指数は小幅安の反落、後場に入ってもプラス圏に浮上せず
東証マザーズ総合指数は、日経平均株価とは真逆の動きになりました。前日比わずかに下げて寄り付くとそれが日中の高値となり終日じり安の推移でした。引けは889.22ポイントでしたが、日中安値とほぼ同水準です。
出来高は3,559万株と超薄商いが続き、売買代金も613億円と一段と細っています。値上がりが73銘柄、値下がりは143銘柄、変わらず6銘柄でした。引き続き、閑散相場を打破する物色テーマの登場が待たれます。
個別銘柄では、ミクシィ(2121)が第一四半期の減益を嫌気し▲11%の大幅下落となり、CYBERDYNE(7779)、そーせいグループ(4565)も揃って下げています。小野薬品の下落が契機となったのでしょうか、全体としてバイオ関連は軟調でした。一方、イトクロ(6049)が+11%上昇し、フリークアウト(6094)、BEENOS(3328)、ラクス(3923)などが上げており、限定的ではありますが、物色意欲が垣間見えました。
本日(8月9日)の注目点-米国株が小安いなか、下値固めができるか
8月9日の株式市場は、8月8日の米国株が下落しており下げて始まりそうです。こうしたなかで、しっかり値固めができるかがポイントになるでしょう。
8月8日に開示された7月の日銀の金融政策決定会合の主な意見によれば、それがどの程度多数派意見なのかは不明ですが、委員のなかに2%のインフレ目標達成のために追加緩和をすべきであるという意見が表明されていることが気になりました。またETFの購入の効果を期待する意見も散見されます。9月の決定会合に向けて株式市場では追加緩和期待が折に触れて意識されるうえ、ETF購入という実弾が市場に投入されます。ファーストリテイリングやソフトバンクなどの日経平均採用銘柄に加えて、金融株が上昇していますが、うまく循環物色の流れができて下値を固めることになるのか注目しておきたいです。
一方、新興市場はバイオ銘柄にリスクオフの動きが見られており、しかも時価総額最大のミクシィの減益決算で業績に対する見方も一層慎重になる可能性があります。物色の新しい柱が欲しいところです。
LIMO編集部