2020年7月31日に行なわれた、Zホールディングス株式会社2021年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:Zホールディングス株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者(CEO) 川邊健太郎 氏\nZホールディングス株式会社 常務執行役員 最高財務責任者(グループCFO) 坂上亮介 氏

2020年度 第1四半期 決算説明会 トピックス

坂上亮介氏:Zホールディングス株式会社グループCFOの坂上でございます。本日は、お忙しい中ご参加いただきましてありがとうございます。第1四半期の決算に関して、私から説明させていただきます。

2ページをご覧ください。まず、第1四半期の決算の主なトピックスです。売上面で巣ごもり消費、ZOZO連結化のようなコマース事業が大きく伸びました。その結果、売上収益は前年から14.8パーセントの増加となりました。また、ショッピングの事業に関する取扱高は前年比で85.9パーセントと、非常に大きな増加を遂げることができました。

利益面では、アスクル、ZOZOといったグループ会社とのシナジー効果、および全社的な費用削減の2点により、コマースの営業利益が初めてメディア事業の営業利益を上回りました。EC革命以降、コマースに関して投資やM&Aをしてきたことの結実と、費用削減といった守りの両面が利益に現れた四半期でした。これまでメディアは非常に収益を支えていましたが、やはりコマースが利益面においても第2の柱になったということです。

純利益の面では、前年の第1四半期に「PayPay」の持分変動益の約108億円を計上し、減益になっています。今年度の通期に関しては、まだ提要的にガイダンスをお示しできる状況ではありませんが、2期連続の増収と営業利益の増を目指して経営を推進していきます。

事業に関するトピックスは1つあります。本日プレスリリースを出していますが、金融サービスを「PayPay」ブランドに統一することを決めました。金融サービスを第3の事業の柱として大きくしていきたいと考えています。

2020年度 第1四半期 連結業績

次はP/Lです。この4月から6月期は、事業への新型コロナウイルスの影響が至るところで出ましたが、こちらに関しては、プラスの面やマイナスの面がそれぞれありました。当社はいろいろなポートフォリオを持っていますので、まさにプラスとマイナスが交互に出てくるようなかたちでした。グループ会社、各サービスお互いに結果的に補完し合うことができましたので、グループで合算してみると、売上がプラス14.8パーセントなど、ご覧のような成長を実現できました。営業利益の面においては、前年から40パーセントの増益を達成することができました。

営業利益の増減要因

こちらは営業利益の前年からの主な増減要因についての解説です。スライドの左から3つ目の棒グラフのメディアに関しては、限界利益マイナスとなりました。一方で、ZOZOを除くコマース事業の限界利益として約69億円と、ZOZOを新規連結したことによって非常に大きく伸びました。

また、前年から固定費の削減も行ない、この部分で約33億円の増益を達成しました。費用削減の件については、2月頃から社内的にも新型コロナウイルス感染拡大の懸念が大きくなってきていました。そこで、早期からいろいろな対応を行ない、保守的に先行してコストを大きく削減した結果、営業利益506億円というかたちで着地しました。

冒頭の繰り返しではありますが、第1四半期に関しては、コマースの営業利益が約363億円と、メディアの335億円を上回るかたちになっています。

コロナ禍における事業環境認識

続いて、新型コロナウイルスによる当社の事業環境の影響についてです。スライドの上段が当社にとってプラスの面、下段がマイナスの面です。まず、EC物販に関しては、巣ごもり消費が増加したこともあってポジティブに働いています。また、「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」の合算における新規購入者、新規出店者は、ご覧のとおり大幅に増えました。当社としては、国内EC市場全体に新しいユーザーを取り込むことで裾自体が大きく拡大したと捉えています。

スライドの右側はメディア・広告についてです。オンラインでの時間消費は、引き続き堅調に増加しています。とくに、在宅によってこれまでマイナスであったPC経由の利用が約10パーセントの増加となりました。

一方で、新型コロナウイルスによってどうしても不透明な状況でしたので、広告のデマンドは減退しました。とくに当社においては、旅行と人材の業種からの出稿が減少しています。

2020年度 第1四半期 KPIの実績

結果として、広告関連売上収益は非常に厳しい状況でした。しかしながら、いろいろな施策に取り組んだ結果、前年からプラス1.2パーセントの増収で着地させることができました。EC物販は、通常の成長のモメンタムとはまったく異なる、はるかに上回った成長を遂げることができました。

コロナ禍に対応したサービス・機能の提供

次はサービスの面です。このような新型コロナウイルスの環境においては、人々の生活様式が非常に大きく変わったと思っています。当グループユーザーファーストを心がけて、新しい生活様式にマッチしたサービスの開発やいろいろな機能を追加しました。この3ヶ月は、ある意味爆速で大小さまざまな70ほどの機能をいろいろ提供してきました。

それに加えて、今日も新型コロナウイルスの感染が拡大していますが、このような中で、やはり混雑を可視化して人々に届けるのが非常に大事だと思っていますので、混雑の可視化にフォーカスした機能を続々と追加しています。外出するときに天気予報を見るかのように、混雑も人々にとって欠かしてはならないものになるよう、力を入れています。

第三者機関による調査結果

ご覧のように、4月から6月期にいろいろな取り組みを推進した結果、サービス利用ならびに信頼獲得につながり、第三者機関による複数の調査で非常に高い評価を得ることができました。今後も引き続き、国産プラットフォーマーとして社会に貢献しながら事業の成長も実現させたいと思っています。

ニューノーマル時代に合わせた働き方への挑戦

以上のような事業を育てて成長させ、社会に貢献していくにおいて、やはりベースとなる人材のパフォーマンスを最大化するのが一番土台になると考えています。子会社のヤフーで発表したのですが、10月から、ITを駆使したさまざまな制約を取っ払った働き方に挑戦します。

このように、私たちが日本で先駆けて新しい働き方に挑戦することによって、ヤフーのミッションである「UPDATE JAPAN」として、私たちが日本の働き方のアップデートをしていきたいと考えています。

通期目標

通期目標に関しては、まだ広告需要が非常に不透明な側面がありますので、定量的な目標値やガイダンスについては今回も非公開としたいと思います。第1四半期に経営をしている中で、あらためて私たちは世界に類を見ないほどのさまざまなポートフォリオを持っている会社だと思いました。投資家の方とコミュニケーションをする中でも、「非常に変わった企業集団ですね」と言われています。

今後も、このような多様なポートフォリオをうまく活用して安定的な収益をつくり、不要不急な費用はきちんと抑制しながら攻めと守りの両輪をうまく回し、通期での増収増益を果たしていきたいと考えています。以上が、第1四半期のトピックスでした。

2020年度 第1四半期 コマース事業 主要指標

続いて、事業別のトピックスについて説明します。まずコマース事業です。コマースの主要なKPIをお示ししていますが、eコマース取扱高は7,073億円、前年から21.1パーセントプラスと、これまでの成長モメンタムから比較して非常に高い成長を実現しました。

とくに物販領域に関しては、ZOZO本店が好調であったこと、ならびに巣ごもり消費増によって、「Yahoo!ショッピング」や「PayPayモール」も大きく成長することができました。リユースに関しては、一部マーケティング費用を削減したものの、「PayPayフリマ」が順調に寄与し、プラスの成長となっています。

一方で、サービス・デジタル取扱高の部分は、トラベルと飲食店予約といったO2Oサービスが大幅に減少しました。緊急事態宣言解除後の6月以降は、徐々に前年に近い水準まで回復を見せています。

「PayPayモール」 新たな取り組み X(クロス)ショッピング

コマース事業におけるヤフーの取り組みです。新型コロナウイルス感染拡大の状況においては、リアルな小売企業の客足は非常に減少していると聞いています。そうなったときに実店舗だけではなくて、ECの販路を持つ重要性が一層増しています。

当グループをあげて、3月にヤフーでXショッピング構想を発表しました。「PayPayモール」上で実店舗の在庫を確認し、お店で購入できるという取り組みです。ご覧のとおり、現在多くの企業に賛同いただいています。小売り企業にとっては販路が拡大できますし、当グループにおいては、実店舗の在庫も取り込むことで、EC市場だけではなく、リアルのBtoC市場も中長期的にきちんと取り込んでいきたいと考えています。

このような環境ですので、成果が出るには時間がかかる取り組みだとは思いながらも、Xショッピング構想で小売企業のみなさまの売上最大化を支援しながら、当社グループの取扱高も中長期で一層飛躍的に成長させていきます。

ZOZOとのシナジー 今後の展開

続いてZOZOとの連携です。ZOZOについては、昨日の決算で詳細が説明されていますので、私からは両社のシナジー領域に関する進捗について簡単にご説明します。ご覧のスライドは、昨年発表した、今後ZOZOとZホールディングスグループとの連携施策の一覧です。

まず、7月にZOZO本店で買った商品をシームレスに「PayPayフリマ」に出品できるよう連携を開始しました。また、第2四半期においては、ZOZO本店への「PayPay」導入を果たしていきます。あとで触れますが、「PayPay」ユーザーは3,000万人を超えており、非常に急成長しています。そのようなユーザー層をぜひZOZO本店にも取り込むことで、ZOZO全体の成長に貢献していきたいと思っています。ほかにもいろいろな連携施策でZOZOとのシナジーをつくりあげていきたいと考えています。

「PayPay」KPI

続いては「PayPay」です。「PayPay」はコロナ禍によって、レストランなどのオフラインの利用に関しては減少傾向がありました。一方で、そもそものベースの成長をしていますので、トータルすると各種KPIはご覧のとおり堅調に成長することができました。とくに前四半期はオンラインにも強化していましたので、結果的に全体で見ると非常にきちんと成長を遂げることができています。

「PayPay」マネタイズサービスの展開

マネタイズについても、計画を前倒ししながら、順次サービスローンチをしています。今年度はとくに、金融とO2Oの拡充を図っていきます。利用者基盤自体も拡大してマネタイズも行なっていき、「PayPay」はこの両輪で経営をしていきたいと考えています。

ブランドの再編

続いて金融事業です。これまでは、Zホールディングスグループの金融ブランドを統一することができていませんでしたが、金融をメディア、コマースに続く第3の柱にしようと掲げています。今回、「PayPay」というかたちにサービスブランドを統一することとします。

コマースの中のEC領域においては、「PayPay決済」を導入したり、ポイントを「PayPayボーナス」に切り替えたり、「PayPayフリマ」「PayPayモール」などの「PayPay」とさまざまな連携をしながら成長しています。このECの部分も含めて、「PayPay」というかたちでブランドも一体とさせ、ユーザーに非常にわかりやすい体験を提供することで金融サービスを第3の柱として立ち上げていきたいと考えています。

マルチパートナー戦略

サービスブランドを「PayPay」にすべて統一しますが、金融商品に関するユーザーのニーズは非常に多様だと思っています。そのため、私たちだけですべてを提供するのは無理があると思っていますので、他の金融期間のみなさまと一緒にパートナーシップを組み、ユーザーに多様で最適な選択肢を提供していきたいと思っています。

ブランド統一キャンペーンを順次実施予定

このような「PayPay」ブランドへの統一を記念して、キャンペーンを順次実施していこうと思っています。詳細は追って発表しますので、ぜひご期待いただければと思います。

シナリオ金融構想の進捗

前期発表しましたシナリオ金融構想についても順調に進捗しています。この後もZホールディングスグループが持つサービスの性質に沿った金融商品を順次提供していきます。当グループだからこそできるような金融に関するユーザー体験をきちんとつくり上げ、みなさまにご提供したいと考えています。

足元の状況と見通し①

今回、通期連結業績としてのガイダンスをなかなかお示しできないため、事業別の主要なKPIの足元の状況を解説します。28ページはショッピング事業に関する取扱高の足元、月次の状況です。ご覧のとおり4月から6月は巣ごもり消費、政府のキャッシュレス推進もあり、通常の成長のモメンタムを上回るかたちの成長でした。他方、7月は巣ごもり消費の緩和や政府のキャッシュレス施策の終了、当社独自のポイント還元プログラムの一部変更があり、成長率が若干緩やかになっています。

一方で、9月からマイナポイントが始まりますので、成長ペースがこのままなのか、マイナポイントを取り込みながらさらに伸びていくのか、まだ不透明な状況ではあります。

広告プラットフォームの統合(7月より順次広告主へ提供開始)

続いてメディアです。30ページをご覧ください。プレミアム広告、YDN等々、これまで複数に分かれていた広告プラットフォームを1つに統合します。これまで複数に分かれていたために、クライアントのみなさまにとって、効果測定や実際運用する手間が煩雑という課題がありました。

今回1本化することで、広告主の目的に沿ってプロダクトをオーダーした配信機能の提供や、直感的に運用しやすいツールの発信を実現しました。

広告プラットフォームの統合:商品のリブランディングに伴い開示区分を変更

このような広告プラットフォームを統合することで、商品名全体をリブランディングしました。それにともない、IR上の会議区分もスライドの右側のとおり変更します。全体の売上の定義については大きな変更はありません。あくまで内訳を修正・変更しています。

また、ディスプレイ広告を出稿タイプ別で運用型と予約型と2つに大きく分けています。なお、ショッピング広告に関しては、運用型と予約型にそれぞれ分離されますが、大部分のPRオプションに関しては運用型に含まれるかたちとなります。

2020年度 第1四半期 広告関連売上収益 実績

このような新区分での広告売上の状況です。全体では791億円、前年からプラス1.2パーセントの着地でした。検索広告は、デマンド面で新型コロナウイルスの影響を非常に強く受け、マイナス11.6パーセントとなりました。一方で、運用型広告の部分に関しては、ショッピングのGM員の成長に伴い拡大し、メディア面でトラフィックが増加したことやプロダクトの改善によって、前年から21.5パーセントと大きく成長することができました。

このようなプロダクトごとにいろいろプラスマイナスがありましたが、お互いを補完しあうかたちで非常にがんばった結果、広告は非常に厳しい可能性がありましたが、トータルではなんとかプラス成長で着地することができました。

統合マーケティングソリューション 新サー ビス(来店計測)

メディアにおけるヤフーの取り組みです。34ページをご覧ください。昨年度に発表した統合マーケティングソリューションについて、広告の送客効果を可視化できるサービス、来店計測を開始しました。

来店計測 事例イメージ

一部の業種で、すでに計測の検証を開始しています。簡単にご説明すると、Yahoo!広告におけるキャンペーンの掲載から実際の店舗にどれぐらい送客できたかの、広告効果を可視化するものです。こちらはWi-Fiを活用したものになります。

単純にどれぐらい送客したかを可視化するだけではなく、Yahoo!広告の複数のクリエイティブをA・Bテスト的に試すことによって、来店率がどう変わるのかということを可視化することができます。今後もレポーティング機能を拡充し、クライアントのマーケティング活用の支援に取り組んでいきます。

営業活動の強化

このような新たな広告プロダクト、マーケティングプロダクトの開発に加えて、営業活動の強化にも取り組みました。スライドの左側ですが、ソフトバンクとの連携によるシナジー売上は、昨年度下半期6ヶ月間では44億円でしたが、第1四半期は3ヶ月間で30億円と、こちらも成長することができました。

スライド右側のジョイント・ビジネス・プランについて解説すると、こちらクライアントと明確な目的を持って一緒に取り組むというかたちになっています。上流からすべて取り組みますので、年間契約のある程度大きなかたちで契約をいただく取り組みです。

上流から取り込めることとデータを活用した提案が非常に評価いただいており、契約者数や金額も順調に伸びています。今後も、このような営業活動に関してもいろいろ強化しながら売上の拡大に努めていきます。

足元の状況と見通し②

広告事業の足元の状況です。38ページは広告関連売上全体の状況です。新型コロナウイルス感染拡大の終息の兆しが見えない中、広告クライアントもデマンドがご覧のとおりけっこうデコボコしている状態です。

この先の7月から9月もなかなか見通せない状況です。一方で、先ほどのようなプロダクトの改善や営業活動を、より広告出稿があるクライアントに強化するなど、メリハリを付けながら影響を最小化する取り組みを引き続き行なっていきます。

LINEとの経営統合

全社的な取り組みについてです。LINEとの統合に関しては、6月30日にリリースしたとおり、一部の国において手続きと対応がまだ未完了な状態です。統合の完了目標の当初予定の今年の10月より少し遅れる見込みです。一方で、現在も大きな問題は起こらず、進捗していると当社の中では認識しています。最近のスケジュール等々が確定しましたら、みなさまにもきちんとご報告します。

引き続き、このような非常に不透明な環境ではありますが、みなさまの温かい支援をぜひともよろしくお願い申し上げます。

通常では同席しないのですが、今回は社長の川邊が同席していますので、一言ごあいさつをさせていただきます。

川邊健太郎氏:Zポールディングズの川邊でございます。世界中のどんな企業でも、この2020年の4月から6月期は大変重要な四半期ではないかと考えています。当然我々も非常に集中して取り組んできました。Zホールディングスくらいの会社になりますと、例えて言えばジャンボジェット機のようなものです。

会社がきちんと運営してくれる中で、ホールディングスの社長としては、ある種の自動運転をしている感じで、安心しながら航行しているのが普段なのですが、この四半期に関しては、本当に自ら操縦官を握って、あらゆる継起を見て、微細な変化も捉えながら、その方向が不時着しないように、あるいは、規定の航路を通って目的地に着けるように最新の注意を払って経営をしたつもりです。

もちろん私だけではなく、Zホールディングスすべての経営幹部がそのような緊張感でしたし、現場は「このコロナ禍で困っている方々のために便利なサービスを提供するんだ」という思いでサービスの開発に集中してきました。そのような現場と経営陣の息が合ったかたちで、なんとか一定程度は株主のみなさまの期待に応えるような四半期にできたのではないかと思っています。

ただし、コロナ禍でますます不透明感を増していますので、引き続き緊張感を持って経営を行ない、今期の所定の目標でした増収増益はなんとしても達成していきたいと考えています。

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