さいごに

このように、高齢世代の年金受給・支出事情を見てみると、必ずしも余裕のある生活とは言い切れない様子が分かりました。

(4)の不足金額に関するデータはもちろんのこと、(1)~(3)を見ても、自営業など国民年金のみの受給世帯では夫婦2人分で月額約13万円です。老後に向けて早期からの対策が必要になるといえるでしょう。

厚生年金モデル世帯の場合も、現役時代の年収500万円台から約270万円に低下します。収入がほぼ半減するという感覚に生活を適合できるかどうかという点も、老後生活を考える上での重要なポイントとなるのではないでしょうか。

これらの年金受給世代の事情を参考に、老後の生活設計について考えてみてはいかがでしょうか。年金の受給見込み額や退職金に関する規定を確認するなど、情報を早期に把握して計画的な貯蓄につなげていきましょう。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

【参考】
(※1)「公的年金運用、17.7兆円の赤字=新型コロナで過去最大―1~3月期」(2020年7月3日付) 時事通信
(※2)「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯」(表8-4よりデータを抽出)総務省
(※3)「シニアの生活意識調査2019」(2019年9月4日発表)ソニー生命
(※4)「平成31年度の年金額改定についてお知らせします」厚生労働省
(※5)「高齢者講習(70歳から74歳までの方の免許更新)」警視庁
(※6)「令和元年度『生活保障に関する調査(速報版)』」生命保険文化センター
(※7)「市場ワーキング・グループの報告書『高齢社会における資産形成・管理』」(報告書p.10【高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)】表内データ参照)金融庁

LIMO編集部